LONGINES Conquest AUTOMATIC L633.1

時計いじりの記録を見ていたら、二年ほどロンジンをいじっていないことがわかりました。

で、在庫を漁ってみたら、こんな時計が出てきました。
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スマホの小さい画像だけを見て入札したんですが、落札してびっくり。

汚れがひどいだけだと思ったら、金めっきが大変なことになっている時計だったんです。
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商品説明もよく読んでいなかったか、参考にウォッチリストに入れておいただけなのにそれを忘れて入札してしまったか。

全然覚えていないニワトリ頭です。

金時計好きの方には申し訳ないのですが、今の私は金時計敬遠派になっているので、ただでさえ入手したくないところに

こんなひどい状態のものを落札してしまったことに対して猛烈な自己嫌悪に陥りました。


そんな苦い思い出のため、今まで触る気がしなかったんですが、二年ぶりのロンジンとして手を付けてみるかという気になりました。

どんな機械が入っているか、興味もあったし。


まず、風防を外しました。テンションリングが風防の内側についているタイプかと思ったら、違いました。

パッキングがケースとインナーベゼルの間にあって、これでシールしているようですが、パッキングをつぶす方向の荷重が弱いような気がします。

元々の仕様なのか、ちょっと疑問です。
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機械を取り出し、番号を確認しました。「L633.1」と刻印してあります。ピンクページで詳細を調べてみたら、ETA2824だって。

テンション激下がりです。見た目はロンジンの雰囲気を醸し出してはいるんですが。
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さて、ケースをどうするか考えたんですが、このままにするわけにはいかないので、再めっきすることにします。

そのために、既存のめっきをはがす必要があります。薬品である程度落とせないかということで、まずはビザーWに漬けてみました。

この製品は溶液の色が派手に変色するのですが、実際には見た目ほどサビは取れてません。

この程度ではほとんど取れていないのと同じ。
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仕方がないので、ゴム砥石でめっきを一通り剥がしてから、グラインダーで仕上げました。

かなり深い腐食跡があるので、全部取り切るつもりは最初からありません。

この後、リューターでさらに磨いてめっき工房で金めっきしようとしたところで、ちょっとしたつまづきが。

このケース、幸か不幸かステンレスでした。ステンレスにめっきするには前処理をしなければいけないとのこと。

前処理剤は標準セットには入っていないので、別途買わなければいけません。調べてみると、1000円ちょっとですが送料が540円かかる。

好きではない金時計にするためにお金と手間をかけるのはどうよ?

ということで、ポリッシュのままにすることにしました。針、文字盤はきんきらきんですので、どうしてもおかしければめっきを考えます。


ということで、次に機械を分解清掃します。ETA2824ということで、どんどん分解していきます。
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香箱には「DO NOT OPEN」の文字が。久しぶりに見ましたね。
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最近は、香箱は開ける必要がなければ開けたくないというのが本音ですが、チェックしたところ1ノッチずつ滑っているのでゼンマイは出さないことに。

香箱真周りだけはきれいにしようということで蓋を開けましたが
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必要はなかった感じです。

巻真まわりの部品がやけに帯磁していたので、脱磁します。脱磁も久しぶり。
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洗浄後、組立を始めます。
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今までやったジョイント巻真は、横方向には自由に動くので、ケースに入っていない状態では非常にやりにくかったのですが、

この機械の巻真は中心から軸が出ていて、竜頭側の凹みに入るようになっているので、ケースに入っていなくても一体化します。
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機械側の接合部を撮り忘れたので、これだけじゃわけわからんかもしれませんね。すみません。


日の裏側も組み付け、
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ワンピースケースなのでケーシングの前に歩度調整。トリオビスなので微調整が楽です。やや進み状態でケースに入れます。

針、文字盤、竜頭は金ですが、ケースはステンレス。とんぬらさんのBELFORTEとは逆のパータンw
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危惧したほどおかしくはないような気がしますが、どうでしょうか。

腐食の痕はどうしようもないですね。裏側だからいいか。
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