カレンダー早送りの禁忌

 機械式時計のカレンダー早送りについて、多少幅に差はあるものの午後8時くらいから午前3時くらいまではやってはいけない、ということが一般的に言われている。いつでも変更できることを売りにして登場したブライトリングのB01みたいなムーブメントもある。

 前回、パイロットクロノの一部を分解した時に、カレンダー板を駆動する部品を間近に見た。そいつは動力を受ける歯車とカレンダー板を動かす駆動爪が別部品になっていて、歯車から生えているピンで駆動爪に一方向のみに動力を伝えているようだ。つまり、駆動爪がカレンダー板の内爪にかかっているときにカレンダーを早送りすると、駆動爪は一緒に回る(空回りする)はずで、いつ早送りしても壊れることはないと思うのだ。逆方向に無理に早送りすれば壊れるだろうが、それは構造上出来ないので壊れることもない。実際、夜中の12時にカレンダーを早送りしても、全く問題ない。

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 これは中華7750の話だが、それ以外にも、危ない時間は早送りが出来ない中華7750改ムーブメントがあることは確認している。本物の7750は確かに「夜間の早送りはだめ」なようだが、そういう点では中華コピームーブメントは単なるコピーではなく、進化していると言えるのではないか。まあ、中華7750の日送り車の構造が弱点をもっているかもしれず、ETAはそれをわかっているので改良できないということも考えられるけど、「夜にうっかり早送りをしたら壊れる可能性が高い機械」というのは、どう考えても21世紀の製品じゃないような気がする。

 ブライトリングのB01がどうやって「いつでも早送り可能」を実現しているのかはわからないけど、中華ムーブと同じ構造だったら笑うね。