FORTIS B-42 COSMONAUT GMT 3 TIME ZONE

 これまでFORTISなんてネット上で写真はたくさん見ていたけど全然興味が湧かなくて、「特に気にならない時計」というかブランドだった。そんなフォルティスの時計を、こじゃれた質屋で見つけてしまった。実物は写真の印象とだいぶ違った。高級感はないんだけれど存在感があるというか無駄がないというか。針のデザインは素っ気ないが安っぽさは感じない。時刻の確認に必要な部分以外は文字盤に溶け込ませている。GMT針も先端の矢印だけオレンジで後はつや消し黒なので、暗がりで時分針と区別が付きにくいということもなさそうだ。
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 かなり程度がよいためメンテ不要と判断され、その分安い値付けになっているとのこと。さすがにその場で購入は決断できなかったが、数日後にその店の近くで用事があった際に立ち寄ったらまだあったので買ってしまった。

 ベゼルのルミナスポイントの縁が光を強く反射するが、それ以外は針から文字盤からケース、ブレスまですべてサテンかつや消しである。ベゼルのトップリングは印刷だが、これもつや消しなので結構いい雰囲気。
 風防は平板だが両面に低反射コーティングされているため、日中屋外の直射日光下での視認性はかなりよいと感じる。
 ただ平面の場合、ほぼ全面がぎらりと紫色の光を反射する角度があり、これには今でも違和感がある。

 ペンシル型の時分針の蓄光塗料は、打ち抜いたところにではなく、根元部分以外の全面に塗布されている。秒針は、よく見かけるロレックスのエクスプローラータイプ。秒針のほとんどとGMT針の先端が蛍光オレンジで塗られていて、デザイン上のアクセントになっている。

 文字盤のインデックス・目盛り・ロゴはすべて印刷のようだけど、安っぽさは感じない。針の白い部分とインデックス数字は蓄光だが、目盛りは光らない。GMT針の三角と同じ大きさの三角が、文字盤上にも配されている。
 見返し部分には第二時間帯用の24時目盛りがあるので、ベゼルを第三時間帯専用にできる。3 TIME ZONEと銘打つ所以だろう。時差のある1地域なら脳内変換で何とかなるだろうけど、2地域だとそれぞれの時刻がわかる時計が必要だろう。ただ、ホームタイムを含めた3地域を往来したり連絡を取り合ったりすることはないのでどれくらい実用性があるのかは不明。
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 見返し部の目盛りは、12時が真上で24時が真下になっている。上半分が昼間、下半分が夜間という意味で、色も変えてあるが、明るいところでないと違いがわからないくらい控えめな違いである。
ベゼルはノッチ数が60なので、奇数時刻に合わせようとすると微妙に合わないことになるが、それで不都合があるかと言えば、ない。ちょっと気持ち悪いだけ。
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 ブレスは各コマの長さが短めで、すべての関節が動くのでフィット感はいいはずだが、その実感はない。ブライトリングのナビタイマーブレスやパイロットブレスと比べると、手首への当たりが硬いような気がする。25mmのエクステンションが仕込まれたクラスプは着脱が硬く、爪が厚くて丈夫と自負する私の親指でもちょっと怖いほど。自分で調整できるだろうが、きつくする方向への調整ができそうもない構造なので、今後摩耗していくことを考えるとうかつに緩くできない。
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 ムーブメントはETA2893-2。GMT針は一時間飛びでセットできる。巻き上げは両方向。ETA2892は巻き上げの回転音がほとんど聞こえないという印象があるけど、この時計は少しシャラシャラという音が聞こえる。精度はやや不安定な感じがするものの、トータルでわずかな遅れ。進む方がよいけれど、実用上は問題なし。

 仕上げの良さみたいなものが感じられない時計だが、チープさは感じない。うまく手を抜いていることに納得できる時計、という感じがする。
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【ベゼル径・厚さ・重さ】約44.5 x 13mm 192g
【ムーブメント】ETA2893-2 (自動巻、ハック、手巻き可、28800振動、GMT機能)
【仕様】蓄光(針、インデックス)、カレンダー(日付)両方向回転ベゼル、3-タイムゾーン、クラスプにエクステンション、200m(20ATM)防水