SEIKO 5 SPORTS SPEED TIMER 6139-6010

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ついに国産クロノグラフに手を出すことになりました。秒針がないとは言え、クロノグラフですから

中はそれなりに複雑なんでしょう。果たして元通りになるのか?
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手に入れた個体はリセットのプッシャーが戻らない、竜頭操作に難あり、ガラスに傷多数という状態。

裏蓋が開かないということでしたが、普通の三爪オープナーで開きました。かなり固かったけど。

中は・・・それなりに変色していますが、さびはないもよう。コラムホイールが存在を主張していますが、

周辺の部品は薄いプレス成型品で「これでいいのか?」という第一印象です。
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単純にコラムホイール=高級(高額)と考えるのは短絡的ですね。


マジックレバーを使った自動巻部を外すと、クロノグラフ関係の部品が見えてきます。
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やや右上にある三つ叉の部品がリセットハンマーですが、これも薄っぺらいですね。

クロノ機構への動力伝達には、いわゆる垂直クラッチというものを採用しています。

真ん中のクロノ秒針を両側にあるレバーで挟むと切断、離すと接続されて秒針が動き始めます。

予想以上に少ない部品でこの機能を実現していたのはちょっと驚きです。

世界初の自動巻クロノグラフは、一般的にクロノマチックということになっていますが、

いやエルプリメロが先だとか、セイコーが実は最初だったんだとかの書き込みを見たことがあります。

個人的な感想を述べさせていただくと、このセイコーの自動巻クロノはエルプリやクロノマチックと

並べて論じるにはちょっと無理があるのではないかという気がします。専門的なことはわからないですが、

ヲタ・マニア的には受け入れにくいのではないかと。

この構成で機能を実現しているのはすごいと思いますけど、通常の秒針もないですから。


それはともかく、分解洗浄して組立です。クロノ関係の部品は受けにはめ殺しになっているのが多いので、

組立の手間は三針モデルに比べてもそれほど多いと感じませんでした。初めてのマジックレバーも

誤組できない構造なので問題ありませんでした。

カレンダー機構はレオパールと同様、竜頭を押して早送りするタイプですが、レオパールのように

時計の姿勢で早送りの対象を選択するのではなく、浅く押すか深く押すかで選択するようです。


この個体は曜日だけを切り替えることができません(深く押すと両方変わる)。
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どこかに問題があるのかもしれませんし、これが仕様なのかもしれません。どちらにしても

実用上は何とかなるのでこのまま使おうと思います。


感心したのは、クロノ秒針の先端が円筒ではないことです。はっきり形状がわからないのですが

平らな面があって、クロノ針を差したときに自動的に位相が決まるようになっているみたいなのです。

最初に差した時はばっちり位置が決まったと自画自賛していましたが、訳あってもう一度外したときに

これに気づきました。

量産工程の作業時間はえらく短縮されたでしょうね。ただ、部品の製造コストは上がったはずなので

どっこいどっこいか。部品のばらつきを組み付け時に調整できないのも不利な点ですね。

と思いましたが、クロノ針の尻に付いているネジ。あれが実は偏心ネジで、あれを回すことで

微調整ができるのではないでしょうか? 今はいじる必要が全くないので触りませんが、

今後機会があれば確認してみようと思います。
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