SEIKO LM Special 5206-6000

またもやロードマチックですが、スペシャルなので今までとは違う52系という機械が入っています。

52系は初めてです。

外観はご覧の通りで、洗いと風防研磨だけで済みそうです。
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針、文字盤も申し分なさそうですね。

このモデルはワンピースケースですが、56KSと同じく外部からタイミング調整できるようになっています。
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写真の撮り方が悪くて済みません。

ワンピースケース特有の開け方で機械を取り出しました。まだきれいですね。ちょっと小柄な機械という

印象です。
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針と文字盤を外し、日車押さえを外したところです。10時のあたりに見慣れない形状の部品があります。
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さらに分解すると、その奥も普通と違うみたいです。
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吉車と鼓車。噛み合い部の形状から、一方に空回りしないことがわかります。
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この時計は手巻きができますが、戻しの時の空回りはどうするのか?それは後ほど。

表側の分解です。写真の下方に見える、ちょっと飛び出たネジが外部からタイミング調整するときの

ネジです。
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これを回すと、その前後運動がテンワの一部を覆っているカバーのようなものをスイングさせ(右側の

ネジを支点にしてスイング)、緩急針を動かすという仕組みです。カバー状の部品を見れば動作が

わかりやすいと思うのですが、写真を取り忘れてしまいました。

二番受けに自動巻の部品がついています。83セイコーマチックもそうでしたが、もう少し複雑でした。
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二番受けの下にあるのは、二番車と秒針規正レバーです。
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分解の後は洗浄し、組立です。二番車、香箱、二番受け、輪列を組み付けていきます。
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この時計は秒カナを使っているタイプですので、秒カナを押さえるバネがついています。

後で資料を見たら、バネが単純に秒カナを上から押さえているわけではなくて、横から差し込む感じで

取り付けなければならないと書いてあったのでヒヤリとしましたが、結果的にそういう作業になって

いたようでほっとしました。

次に受けをかぶせます。比較的簡単にはまりました。
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この時計、ダイヤフィックスが3個ありますが、そのバネがダイヤショックと同じ形で一回り小さい

サイズです。そのためかどうかわかりませんが、かなりつけにくく、また壊すか飛ばすかするんでは

ないかとヒヤヒヤしながら作業しました。ダイヤショックはピンセットの先でくるくる回しながら

取り付けられるのですが、このダイヤフィックスはピンセットでは回ってくれず、3つめの爪が

どうしても入らないのです。

結局、ピンセットと爪楊枝を駆使することで、破損も紛失もなく取り付けに成功。

そしてテンプを取り付けます。

テンプの受け石以外は地板・受けに取り付けた後注油しますが、テンプの石だけは取り付ける時に

注油します。受け石の裏(平らな面)にオイルを乗せ、穴石にかぶせます。
うまくいけば受け石の直径の半分くらいにオイルがたまりますが、量が多いと

全体にオイルが回ってしまいます。

別にこれが摩耗の原因になる訳じゃないと思うんですが、オイルが徐々にしみ出していって

早くなくなってしまうからいかんと言うことらしいです。

今回はやや少なめながら真ん中に収まりました。


外部調整用緩急装置を取り付けて、後はローターだけを残して日の裏に移ります。
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カンヌキの形が変わっています。バネと一体です。
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写真左側は瞬間カレンダー送り機構です。スネイルカムが回転して、C形の部品が一番高いところから

低いところに落ちる時に一瞬で送ります。一口で瞬間送りと言っても、各社各機械でいろいろ

違いがあるのがおもしろいところです。
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日車・曜車をつける前の全景です。カレンダーの揺動レバーは形状がちょっと56系とは違いますが、

構造は同じです。でも52系のレバーが壊れやすいというのはあまり聞かないような気がします。

56系ほど数が出回っていないからでしょうか。
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また、黄色丸のところに長穴に沿って動く、コハゼみたいな役目を持ったギアがあって、これが

竜頭を逆に廻した時に空回りさせるようになっています。

日車、曜車、文字盤、針をつけてケースに入れて完成。風防は磨きましたがケースはそのままです。
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