OMEGA GENEVE ME 131.0019
今までオメガを2個分解しましたが、いずれも部品の破損があり、追加出費を余儀なくされてきました。
先日、3個目をやり始めたのですが、それも裏押さえが破損していることが判明し、作業中断中。
同じブランドで部品破損が3度続くのは異常と言わざるを得ません。
実は、4つめのオメガが既に手元にあったので、それも異常があるのではないか?と不安になり、
順番を飛び越して分解することになりました。それが今回の時計です。
文字盤にはペットネームが書いてないので、なんだかわかりません。
裏蓋の内側には131.019と刻印されているので、オメガ公式サイトのvintage watch databaseで
調べてみると、RefはME 131.0019、ジュネーブのようです。機械は601。
開けるのに苦労したらしい痕がある裏蓋の下にあった機械は、表面がたいぶ変色しています。
針と文字盤を外しました。心配だった裏押さえは、大丈夫なようです。なんだか真新しい感じが
するので、交換された過去があるのかもしれません。
地板側の天真の緩衝装置です。バネがネジ留めになっています。飛ばしたり折ったりする可能性が
低い点は気が楽ですね。
日の裏側を分解したら、輪列側に移ります。メタルクリーナーでどこまできれいになるでしょうか。
秒カナを三番車で駆動するタイプ。秒カナはふらつき防止のバネで押さえられていますが、
受けもあります。
輪列の様子です。
一番受けの裏側です。香箱からかなり多量のグリスが染み出して、周囲を汚しています。グリスを
除去したら、下のめっきが傷んでいました。どんなグリスを使ったんでしょうか。
香箱を開けたら、こういう状態でした。手を入れざるを得ないですよね。
洗浄後、地板の緩衝装置をつけました。その後輪列側の組立をやります。
香箱、二番車、一番受けをつけました。
めっきの部品はだいぶきれいにはなったものの、傷みの進んだところは変色が取れないか、めっき
自体が取れてしまいました。
秒カナ、押さえバネ、輪列を取り付けました。
その他の部品を取り付け、輪列側は完成です。
裏返して巻真まわりを取り付け。ここで問題を発見。なんとオシドリ押さえが付いていません。
分解の時には気づきませんでした。そう言えば、巻真を一度抜いた後にもう一度取り付けようとしたら
オシドリが戻らなくて針回しできなかった、ということがありました。
その時はさびていたから戻らなかったと理解していましたが、じつは押し戻すバネがなかったのですから
戻るはずがありません。
こんな部品なんか、たぶんどこを探しても出てこないし、かといってないと都合が悪いので、
仕方なく作ることにしました。ジャンク品の裏押さえを取り出し、余分なところをカット・削って
溝に収まる形状にしました。部品が既にさびているのは気にしないで下さい(^_^;
その溝のスペースから判断すると、押さえは平らで先端が二股になっていると思われますが、
あいにくジャンクから削りだした押さえはそういう形状にできないので(無理に平らにしようとすると
折れそうなので)写真の形状のまま装着。
文字盤をつけて、オシドリを押してみましたが、かなり堅いものの巻真の着脱はできることが
わかったので、これで行くことにしました。
針をつけてケースに入れて
完成です。
今回は部品の破損があったわけではないのですが、おそらくずっと前にバネが折れてしまい、無いまま
組んだものが私のところに来たということだと思います。まあ50年も経っていれば、部品のひとつや
二つ壊れていても仕方がないことかもしれませんが、同一ブランドでこういうことが連続すると、
やはりブランドイメージは変わるかな・・・