LONGINES Cal. 890.1
一昨日、ちょっとお見せした890.1ドナーから、いよいよ部品を摘出します。
今回取り出すのは次の三つ。
1. ローター
2. 日送り車
3. コハゼ
2. 日送り車
3. コハゼ
それではさっそく分解しましょう。まずはローターを外しました。
次は輪列受けの下からコハゼを取り出します。
しかし、ちょっと違和感が。
黄色矢印の銅色の部品がコハゼですが、その一部が黄色丸から見えています。
前の機械にこんな穴が明いてたっけ?
とりあえず外して受けを裏返してみました。コハゼは裏にこのように収まっています。
前の機械はどうだったのか。ということで見てみると
何かを取り付けるようにはなっていません。のっぺらぼうです。
コハゼを生かしたければ受けごと移植するしかないか・・・
しかし、地板側を見てさらに驚き。前の機械にはない部品がついています。
黄色矢印です。これは秒カナのふらつきを抑えるためのバネですね。移植できるものなら
したいところですが、地板側に加工してないと取り付けられません。
こちらはあっちの機械の地板
だからこっちから部品を取ってあっちに移植するよりは、こちらの機械をベースにして
足りない部品をあっちから持ってくる方がよさそうとも思いましたが、
地板や受けの状態があまりよくないのでそれはやめました。
緑の矢印はカレンダー早送りの爪ですが、一文字形の金属製です。
これは移植できそうですが、将来のために温存します。
結局、今回移植するのはこの二つ。
あっちの機械を取り出し、日の裏を露出させ、日送り車を交換。
日車、日車押さえを付けて動作確認したところ、ばっちり瞬時切り替え
してくれました。よかったー
文字盤、針を取り付けてケースに戻し、ローターを取り付け。
なんとなく釈然としないところはありますが、裏蓋を締めて完成。
あっちの機械は、単に部品がないだけではなくて、部品を取り付ける
スペースもなかったということなので、初期の890.1はコハゼも秒カナ抑えも
つかない仕様だったということなんでしょうかね。
あと二つ三つは分解してみないと収まらないような気持になっています。
ちなみに、ですが、パワーリザーブを計算してみました。
香箱についている歯車(摩擦車)の数が70
筒カナ側の歯数が25(これはドナー側の部品を撮影したものです。変形・打痕のため使用不可でしょう)
香箱の全回転数が15周だったので、PR=70/25x15=42H
計算上、全巻きから止まるまでの時間は42時間となります。
実際に使用した結果は41時間だったので、だいたいその通りと言えます。