SEIKO CHRONOGRAPH AUTOMATIC 17J 7016-7000

久しぶりの投稿となってしまいました。

今回は、セイコーの自動巻きクロノグラフを分解します。

セイコーの自動巻きクロノグラフにはいくつか種類がありますね。

60秒/30分積算計の6139 (7018もあるが、これは未体験)
60秒/30分/12時間積算計の6138
60秒積算計のみの7015
30分/12時間積算計が同軸の7016

セイコーの自動巻きクロノグラフは、通常の秒針がないのが共通点です。

それが不満の一つではあるのですが、もともと低コストを目指して開発された

という話もあり、それがほんとなら仕方がないかな、って感じです。


今回やるのは30分/12時間積算計が同軸のタイプです。
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外観はひどいとは言えませんが、かなり手が入っているようです。ずいぶんと時間をかけて

バフ掛けしたようで、全体的に丸くなっています。オリジナル状態をしらないので、もともと

角が丸いデザインだったのかもしれませんが。


入手時には知らなかったのですが、この機械はフライバック機能を持っています。

シチズンのチャレンジタイマーみたいなものですね。
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では、さっそく分解に入ります。

機械を取り出そうとしてあれっ!? オシドリピンが見当たりません。

6秒ほど考えて、解決。以前やった機械にもありましたが、巻真を引き出すと

押すところが出てくるタイプなのでした。左が押し込んだ状態、右が引き出した状態です。
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文字盤は薄汚れていますが、それほど傷みはありません。
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針ともども、できるだけいじらないようにします(^_^;

ケースを分解しようとして、変なものが目に入りました。リセットボタンの先端に

歯車がついています。巻真に歯車がついている時計は見たことがありますが、

プッシャーに歯車がついているのは初めて。そもそも、どうやって回すの?
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取らないと分解できないので取っちゃいましたが、接着剤でくっついていました。

大きな謎でしたが、これがついていた理由は後でわかります。


針と文字盤を外しました。大きすぎるのではないかと思えるEリングで留められている

曜車には、「スペイン」と書いてあります。親切ですね。
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続けて日の裏を分解していきます。日車押えと日車を外すと、日の裏の全貌が明らかに。
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日躍制レバーが変なところにありますが、気にしないでください(^_^;

この場面で目に付くのは、左側にある*形のバネがついた歯車ですね。これは

12時間積算計の歯車です。セイコーの6138やETA7750などは、香箱から直接動力をもらって

12時間積算計を回しますが、この7016は秒クロノグラフ車から3つの歯車を介して

動力が伝わるようです。

それから、5時の位置にあるのは曜日早送りのツメです。

オシドリとカンヌキが一体化していて、バネも共用化されているようです。
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この辺りは7015と同じですか。


次に表側です。この辺も70系そのままですかね。
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ちなみに、黄色丸の部品がピラーホイールです。「ピラー」に相当する部位がないですけど。

クロノグラフ受けを外すと、もう1枚板が出てきます。ただの板ではなくて、裏側に部品の

逃しが掘ってあります。
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これを取ると、香箱が出てきます。
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このように、この機械は厚みがあるので、香箱真も長くなっています。後ピンですみません。
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これが三番車。歯車が2段になっていますが、秒カナを採用した機械でみられる、

秒針ふらつき防止のための構造ではなく、12時間積算計の中間車としての

役目を持っています。
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まず、二番車から下側のカナへ動力が伝わり、これと一体で回る上側の歯車から秒クロノグラフ車の

カナにつながります。このカナはガンギ車と噛み合っている歯車と一体になっています。

写真を撮り忘れてしまいましたが、秒クロノグラフ車もカナが2段ついていて、もう一方のカナは

クラッチと連動していて、クロノが始動した時のみ回転し、三番車の歯車(写真では下側)を

経由して一つ上の写真の右にある大きな歯車とその下の歯車を介して12時間積算計を回します。

文字だとややこしいですね・・・


こんな感じで分解が終わりました。

しかし、このペースだと写真の容量がオーバーしてしまいそうなので、一度ここで切ります。

続きは後ほど。