CITIZEN COSMOTRON SPECIAL

先週末は、私が所属するスキークラブのバスツアーでした。
宿泊予定のホテルで盗難事件があったり、どこかのツアーバスが大事故を起こしたりで、相当な逆風が吹いていましたが、何とか例年並みのお客様に参加いただき、無事催行することができました。

それはさておき、本日はまたシチズンのコスモトロンです。先週と違うのはスペシャルなこと。
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向かって左下にあるボタンを押すと、秒針が帰零し、分針も±3分程度だと帰零するもので、時刻合わせが大変楽な機能です。

風防は9面カットガラス。状態はかなり悪いです。今回はこの風防の研磨に挑戦します。
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機械は今までのコスモトロンの中では痛んでいるほうです。基板が死んでいなければいいのですが。
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ということで電池を入れてみたらやっぱり動きませんでした。分解掃除していく過程で復活するかどうかわかりませんが、ドナーはあるのでとりあえず作業を続けます。

前回は持ちやすさを重視して風防をケースに付けたまま研磨しましたが、今回は思うところあって単体で研磨をします。

途中をはしょりますが、結果はつぎのようになりました。
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よく見ると消しきれなかった傷が多数残っていますが、施工前の状態を考えたら十分じゃないでしょうか。

研磨剤は、前回までキイロビンを使いましたが、今回は新たなアイテムを使いました。GLACERIUMという商品。
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中身はキイロビンと同じ酸化セリウムですが、わらをもつかむ思いで試してみることにしました。

今回使ってみた感想としては、キイロビンとあまり違いはなかったかなというのが正直なところです。

ただ私の使っているキイロビンは、セリウムを追加して含有量を上げていますので、素のキイロビンよりはよいのかも?


やはり9面もあると時間はかかるものの、ニューマスィーンのおかげで何とか破損させずに研磨が完了しました。

ようやく、割らずに9面カットガラスを磨ける方法が見つかったかな・・・今までに割ってしまった風防が、これで成仏してくれるといいんですが。

この後ケースを磨きます。ケースと裏蓋は針を挿す時の機械台代わりに使うので、風防を取り付けるのはその後です。


ここから機械の分解洗浄に入ります。

少なからず水が浸入したようで、部品の腐食が目立ちます。文字盤や針にも腐食があります。文字盤の方はもともとのデザインのおかげであまり目立ちませんが。

とりあえず日の裏側から分解していきます。機械の中部には水気の影響がないようです。
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日の裏が終わったら表側を分解します。前回のコスモトロンとの違いは時報合わせ機能です。
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この機能の使い方は、正時が近づいてきたら、7時位置のボタンを押します。すると、秒針と分針が12時位置に来ます。

そして、時報とともにボタンを離すと動き始めるという寸法です。ただし分針は遅れ進みが3分以内でないと12時位置には来ませんので、それ以外の好きな時刻で秒針のみリセットすることができます。

この機能を実現するために、クロノグラフみたいな構造が一部にあります。


分解が終わったら洗浄します。まずは地板にパラショック。
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その後、正規の組み付け順に従うなら巻真まわりですが、いつも通り表側へGO!

地板に筒車、伝え車、インデックス車、二番車等を取り付けます。台形の切欠きがある部品が二番車です。
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時報合わせボタンを押した時、この切欠きにすぐ横のレバーが入ったら分針が12時位置に規正されます。

受けを被せます。ここで、インデックス車受けの下に時報合わせ時の秒針規正レバーを入れ忘れたことに気づき、あわてて取り付け。
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分解時の写真がほとんど撮ってなかったので、過去の写真と技術解説書(これが見にくい)を参考に部品を組みつけていきます。
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輪列受けまで付いたらテンプを取り付け、基板・電極等を取り付けます。で、電池を入れてみましたが、やっぱり動かない。

仕方がないのでドナーから基板を移植し、事なきを得ました。
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次に日の裏です。日の裏側をやる時、いつもの機械台だととてもすわりが悪いので、プラの円筒型機械台を使いました。
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日の裏を組む時の注意点はひとつ。日送り車の位相指定があることです。

これは、0時に時刻合わせボタンを押した時に日付も進むようにするためだと思われます。

位相の合わせ方は、時報合わせボタンを押しながら針送りをし、がつんと止まって動かなくなったところで地板側に彫られた▽マークと日送り車の▽を合わせて取り付けてやります。

あとは普通に組んで行きます。前回のコスモトロンもそうでしたが、日車躍制レバーのバネが日車押さえと一体になっています。

文字盤を取り付けたら、ベゼルだけ取り付けたケースに入れて裏蓋を閉めます。
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そして、時報合わせボタンを押しながら、巻真が回らなくなるまで回します。

そしたら、ボタンを押したまま、針を挿して行きます。分針を挿す場合は、1/10分ほど進ませた位置にするとのこと。

これは、ボタンを離してから分針が動き出すまでにタイムラグがあるからだそうです。
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針が挿せたら風防を押し込みます。これで完成です。
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この時計には前回のコスモトロンから抜いた空気亜鉛電池を入れました。前回のコスモトロンにはLR44を入れて、耐久テストをする予定。


今回は9面カット風防の研磨がポイントだったと思います。

新しいマシンを導入してから3個やって、今のところ失敗が出ていないので、前のやり方からは成功率が飛躍的に向上したと言えます。

ただ、今回研磨だけで3時間以上かかってますので、更なる効率アップが必要です。いろいろ試行錯誤しようと思います。