CITIZEN SEVENSTAR V2 22J
さーて、お盆休み最後の更新は!?
シチズンのセブンスターV2です。これも弾数が多いモデルですが、私の好きなモデルでもあります。
今回は白文字盤ですが、青文字盤は過去にいくつかやっていますね。
振るとカタカタ大きめの音がします。裏蓋を開けてみると
ローターのベアリングが壊れ、ローターがフリーになっていました。
ボールは一つも見つからなかったので、壊れた後に一度は開けられているってことですね。
ドナーを探しました。ほどなく同じ22Jのローターが見つかりましたが、サビがひどい。裏側はもっと大変なことになっています。
そこで、ベアリングの移植を実行しました。
まず、生かすローターからベアリングの残骸を除去します。
こちらはローターをできるだけ傷めないように注意します。
そして、ドナーのローターからベアリングを外します。こちらはベアリングにダメージを与えないようにします。この作業の方が気を使いました。
そして合体・かしめ。成功したかに見えましたが、これでは終わらなかったんです・・・
次はケースです。このモデルはケースとベゼルが一体ですが、ケース正面が同心円のヘアライン、ベゼル相当部分がポリッシュです。
両頭グラインダーだけでは処理できないので、ケースのサイドとベゼルの最前面を両頭グラインダー、ケース正面とベゼル斜め部分を電動ドリルで回しながら砂消しゴム、磨き棒で処理。
裏蓋は文字の打刻が深いせいか、けっこう凸凹しています。両頭グラインダーで磨くと時間がかかり過ぎるし大きな傷は少ないので布バフで磨きました。
そして風防の研磨。1.5mmの平ガラスですので、交換が手っ取り早いと思ったのですが、現物の直径がφ29.8に対して在庫品はφ29.5。
接着式なら何とかなりますが、樹脂リングで固定するタイプですので、0.3mm違うと全然無理。
仕方なく研磨します。最初の写真の5-6時あたりにかなり深い傷がありますので、金剛砂の#400で傷を消し、#1000で中研ぎし、最後は包丁研ぎ機で仕上げました。
今度は機械の分解。
いつも通り日の裏からです。曜車の固定バネは曜車と一体なので、セイコーの61系のCリングのように飛ばす心配がありません。その分、ちょっと外しにくいですけど。
シチズン独自のターンプッシュ式早送り機構は、シンプルだし日と曜で押す荷重が同じなのがいいですね。曜日を進めるのにけっこう力がいる61系に対してはアドバンテージがあると思います。
続きまして表側です。日の裏側の構造は52系からけっこう進化がありますが、表側はあまり変わっていないという印象です。
香箱チェックでは、6.5周ほど巻いたところで一気に1.5周滑ってしまうことがわかりました。中を見ると、普通ならこのままにするところですが・・・
ゼンマイを取り出し、洗浄した後、スリップ面には注油を一切せず(ただし側面は注油)組み立てて、再度チェック。
今度は7周巻きあがった後、1ノッチずつ滑っていきます。機能上はこれがあるべき姿ですが、耐久的にはどうなのか?
組立です。地板にパラショックを付けて注油、その後輪列等をセットします。これだけ部品を取り付けて、受けをかぶせます。
ここで一度日の裏側に行き、巻真周りを組み付けます。クリスタルセブンでは小さいバネがたくさんありましたが、77系になると一つもありません。
カンヌキのバネはカンヌキ押さえと一体です。
再び表側に行ってアンクル、テンプを取り付けます。色々ありましたが動きましたw
また日の裏に行って、残りの部品を取り付けます。
ケースに入れてローターを付けて
完成。に思えましたが、振るとローターが裏蓋に当たる音が。交換したベアリング、ガタがちょっと大きいかな、と思っていたんですが、やっぱりだめでした。
機械側には当たらないんですがね・・・
ローターが生きているドナーはもうありませんが、NOS品があるので、それを使います。
石数が違いますが、この際気にしないことにします。ベアリング交換の気力はもうないので・・・
ということで、今度こそ完成です。
磨き棒とか布バフは過去に通った道ですが、場合によっては有効であることがわかったのが収穫でした。