時計用語

 時計の専門用語は、初心者が戸惑うものが多い。特に、読み方。日本語の部品名などは古い時計から来ているものが多いらしく、どう読んだらいいのか迷うものが多い。地板(じいた)とか吉車(きちぐるま)とか香箱(こうばこ)とか。

 読み方以外にも、どれが正しい表記なの? ってものもある。たとえば、ギョーシェ。文字盤などに施される、連続した曲線模様のことだが、「ギョシェ」とか「ギョウシェ」などと書いてある場合もある。それでも、これは外国語をカナで書くときの表記のふれと言えるのでまだよい。

 しばらく悩んだのがペルラージュ。ムーブメントの部品の平面部に施される、うろこのような同心円模様が連続する装飾だが、ペラルージュと書いてある場合もよく見られる。最初はどっちなんだと真剣に悩んだものだ。

 それから、ドーフィン(dauphine)針。針の形の種類だが、これをドルフィンと書いている場合がけっこうある。某時計専門誌でも見られた。最初は誤植かと思ったが何度も繰り返し出てくるので、ライターはほんとにドルフィンと思っているのだろう。これは、アルファベットのつづりがわかったのでドーフィンの方が正しいと確信しているが、ググると「ドルフィン針」21,100件、「ドルフィンハンド」43,400件に対して「ドーフィン針」1,100件、「ドーフィンハンド」9,440件でかなり分が悪い。

 今悩んでいるのが「アプライド」である。印刷でない、立体的なインデックスを指すときに使う。これをアップライトと書いている場合があるのだ。アップライトピアノという言葉が結構定着しているので言いやすいのと、なんとなく立体的なイメージがあるのでこれが正しいのかも、などと思ってしまうが、某英語サイトを見たら”applied”という言葉があり、この同義語として”applique”が記されていた。日本語で言えば「アップリケ」である。文字盤にアップリケのように貼り付けられたインデックス、というのも非常に説得力がある。現時点ではこの「アプライド(applied)」が正しいと思っているが、本当はどうなのだろうか?