スピットファイアークロノのカレンダー修理

 さて、カレンダーまわりのトラブルが続いているスピットファイアークロノだが、ついに最後の修理を実施した。

 以前書いたが、修理と同時にカレンダーの送り車にリターンスプリングを仕込んで、12時直前にカレンダーを変えても、12時を回ったらまたカレンダーが動くようにしようと考えていた。しかし、実物を見たらばねを仕込むスペースがほとんどなく、ここに入るばねを作るだけでも一苦労しそうだったので、今回は見送ることにした。

 カレンダー送り車をいじれるところまで時計を分解していくのはだいぶ慣れた。前回は二つの送り車の位相関係がよくわからなかったが、今回は意思を持って位相を決めた。日付と曜日が同時に変わるのがおもしろそうだったが、機械にかかる負担が大きいかもしれないと思ったので(webでも日付と曜日が同時に動き始めている写真を見たが)、今回は曜日を少し遅らせることにした。

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変更前の位相(二つの送り車の位相差が約170度)

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変更後の位相(位相差は80度くらい)

 分解は慣れたが、組立時にいつも苦労するところがある。それはカレンダー板の裏の歯車と、停止位置を規制している爪(ETAの部品表ではday jumper, date jumper) のばねの取り付けだ。一つのばねで二つの部品を押さえているので、なかなかうまく取り付けられない。何度もばねを飛ばしながら、ようやく完了。すぐに押さえ板を取り付けた。

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矢印のばねの取り付けに苦労した

 前回まで、曜日の切り替わりのトラブルで困っていたが、どうもデイジャンパーと曜日板の爪をちゃんとかみ合わせてないというお粗末作業が原因だったようだ。そこをちゃんと確認した後、前回取り付けたスペーサーははさまず、文字盤を取り付けた。

 この段階でカレンダーを早送りしてみる。うーん、なんか怪しい動きをすることがあるが、早送りは出来るし、止まる位置も問題ない。

 次に、日付が変わり始めたところで竜頭を押し込み、普通の稼働状態でカレンダーがちゃんと変わることを確認。念のため、日付が変わり始めるだいぶ前の時間から、同様の確認を実施。これで問題ないことがわかったので、最終工程に入った。

 サブダイアルの針は3本とも同じと思っていたが、以前の状態はどうも秒針が長く12時間系が短いように見えた。そこで3本並べてみたら、案の定1本だけ短い。文字盤をよく見ると、スモールセカンドダイアルが他よりほんの少し小さい。この短いのがスモールセカンドだったのだ。こんなこと最初に気づけよ、って感じだが、最後の最後で正しい取り付けに出来た。

 センター針3本も、特に問題なく取り付けられた。クロノ秒針は今回も緩みは感じられず、リセット後にずれることもなかったのはよかった。

 パチの部品だからかもしれないが、針に傷が付きやすい。外すときも保護シートを使ったのに、よく見ると汚れのような細かい傷がけっこうついている。そこで、用意してあったダイソーの金属磨きシートで軽く擦ってみた。すると、汚れのような浅い傷はほとんど目立たなくなった。さすがに深い傷は消えないけれど、この方法は今後も使えるかも。

 後は普通にケースに入れ、裏蓋をねじ込んで作業終了。カレンダーの動きを確認してみた。(時間の早送りでの確認なので、実際の稼働中の切りかわりタイミングはちょっと変わってくるだろう。)

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 10時半くらいから日付が変わり始める。

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 11時43分ころには曜日も変わり始めた。日付と曜日の切り変わりがややかぶっているが、大丈夫だろう。そう言えば所有する時計の中でデイデイト表示なのはこれだけだ。

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 12時1分に日付が完全に変わった

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 1時8分には曜日も変わった

 今週はランニングテストも兼ねてこの時計を使用しているが、クロノ秒針の動きがぎこちないものの、カレンダーは問題なく、日差も+3秒以内と、いい精度を保っている。 

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