PARNIS の腕時計

 web検索してもほとんど引っかからないブランドで、オークションでしか買えない時計のようだ。「ドイツ製」と謳っているものの、中国製に間違いないのは多くの人が知るところだろう。B級時計好きは、こういう時計にも興味を持ってしまう。それでも購入に至るには側、文字盤のデザインが好みでなければならない。

 この時計を買う気になったのは、文字盤が今気になっている時計のひとつであるポルトギーゼにちょっと似ているから。インデックス、針、縦目のサブダイアルあたりは、絶対ポルトギーゼを意識しているはず。2個あるサブダイアルは、パワーリザーブメーターとスモールセコンド。文字盤には「CHRONOMETER」とあるが、あの「CHRONOMETER」のことかな? 嘘か真か以前の話だよね。
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 youtubeにこの時計の動画があったが、悪くなさそうだ。もしがらくたでも簡単に諦められる、という価格でもないが、買ってみることにした。

 落札してから受け取るまでちょっと待たされた。在庫がないというのだ。この出品者との取引は2度目だが、前回もそうだった。この時計の出品者に限らないが、手許に物がないのに出品をしている例が多い。

 ケースはビーバレルの0040とかなり似ているが、ラグのあたりが違う。外径も、風防の径も微妙に違う。風防は縁がうっすら緑色なので普通のミネラルガラスだと思うが、何らかのコーティングがしてあるようで、ぎらぎらの反射はない。周辺部は0040と同様カーブの曲率が変わっていて、反射像が歪むが、安い中華製ならこんなものだろう。ガラスの厚みが均一で、斜めから見ても文字盤がそのまま見えるのも0040と同じ。
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↑上がBB0040、下がPARNIS ↓左がBB0040、右がPARNIS
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 ムーブメントはテンプ受けが両持ちになっている以外は、特徴的なところはない。一応見せるための装飾もしてあるけど、焼け石に水というか・・・。巻き上げ方向は片側だけのようだ。秒針停止は不安定。竜頭を引いた時に秒針が止まったり動いたままだったり。動いていても、時刻を戻す方向に竜頭を回せば秒針が止まる。そこで手を離しても止まったままで、竜頭を押し込むとまた動き始めるので、事実上秒針停止機能はある。
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 その竜頭だけど・・・なんか斜めみたい。ゼンマイの巻き上げはできるし、時間合わせもできるが、竜頭が斜めについている。ケースの巻真穴とムーブメントの位置が合っていないようだ。やられたなー。とりあえず出品者に連絡するが、海外出張のため対応が遅れますとのこと。なんか、今後の展開に不安を感じるスタートだ。
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 その後画像を送って、現物を送り返したら、ようやく不具合でした、すぐ代替品を送りますという、普通の連絡が来た。それまではあまり信用してくれていなかった感じがある。

 ともあれ、これで不具合のないものが手に入ったと思ったら、今度来たのはローターの回転音がすごい。回転音というよりはどこかが擦れ合って発する摺動音という感じで、とても人前で腕を振れない。そこで、ローターのベアリングにオイルを差してみた。回転数が落ちることで音は小さくなるが、摺動音自体は出ている。そこで、いっぺんベアリングを洗浄してみようかと思ってローターを外そうとしたら、3本のネジのうち2本のネジの頭が欠けた。半分は残っているので、取り外しと再締め付け(とりあえずねじ込んであるだけ)はできたが、早いうちにネジを調達して交換しなければ。

 ベアリングは洗浄しても変化がなかったので、またオイルを少しだけつけた。音はだいぶ減ったが、しばらく腕につけていたら巻き上げもしているようなので、この辺で手を打つことにした。

 文字盤は薄いアイボリーで梨地のようなつや消し。サブダイアルは同心円模様が刻まれた銀色。これはこれで悪くないが、もう少し渋い光り方をする銀色だったらもっとよかったかも、という気はする。
 インデックスはアプライドで、青く塗ってある。4本の針も同じ塗装。塗りムラのようなものがあったり、下地が粗いのが見て取れる点は残念だが、個人的にはけっこう好ましい仕上がりだ。
 12時と6時のインデックスが他より低くて青の色味が違う。ここだけ作り方が違うようだ。サブダイアルにより一部が欠けたデザインになっているのと関係あるのかなと思うが、よくわからない。
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日差は今のところ+30秒くらい。

【ベゼル径・厚さ・重さ】約43 x 14.4mm 100g(観音開きDバックル装着時)
【ムーブメント】自動巻(ハックあり?、手巻き可) 21600振動
【仕様】パワーリザーブメーター、蓄光なし、カレンダーなし