中華7751の分解組立-2

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前回の続きで、香箱のチェック・潤滑です。

中のゼンマイがびよよーんとなってしまうといやなので、慎重に香箱真を押さえながら

蓋を開けました。その内部は・・・

予想通りというか期待通りというか、油ッ気がまったくありません。
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それが不具合の原因かどうかはまだわかりませんが、直る可能性が出てきたのでうれしくなりました。

ETAのマニュアルではゼンマイの先端にKluber P125というグリスをつけるように指示されていますが、

指定品の入手は難しそうなので手持ちのモリブデングリスを使います。

問題はどうやってゼンマイの先端に塗布するかです。

ゼンマイがほどけた状態では香箱内側と密着しているので塗れません。

上に塗りつけてもグリスが浸透していくとは思えないし、このまま組み込んでも

全面にグリスがまわってくれるかどうかわかりません。

そこで考えた方法は、香箱真の四角部分を四割でつまみ、その四割を電動ドライバーで

回すことでゼンマイを巻き上げ、香箱との隙間を作るというやり方です。

失敗するとびよよーんとなりかねないですが、うまくいけば香箱内周にグリスを

塗ることができるはずです。

実際にやってみますと、ゼンマイが巻き上がって外周がスリップを始めた時に

トルクが上がったのが指に伝わってきました。

予想と違い、完全に巻き上がっても香箱内側は全周ゼンマイと接しています。

それでも隙間は若干広がりましたので、そこにグリスを押し込み、なじませるためしばらく

電動ドライバーを回し続けてから蓋を閉めました。その後またしばらく回してみましたが、

グリス注入前のような明確なトルクの変化が感じられなかったので、グリスの効果はあったようです。


次に部品の洗浄です。使用頻度がそれほど多くない機械ですから、パチとは言え汚れの

こびりつきはまだありませんが、スピットファイアークロノと同様、曇りのような汚れが

ついている部品が数多くあります。明らかに汚れているものは、超音波洗浄の前に個別に

汚れ落としをしておきます。

気休めですが、各歯車や真の磨耗・曲がりがないことも確認します。

これが終わったら、超音波洗浄。ネジとDRIVER CANNON PINION、REVERSING WHEELは

洗いませんでした。

(REVERSING WHEELを洗わないのは、ちょっと前に手巻き時のローター供回り対応で

洗浄し、いい給油状態になっているのでいじりたくないからです。)

不具合が解決していることを祈りつつ、組立に入ります。分解の逆の手順で組みつけていきます。

穴石が抜けてしまった場所が不安です。組み付け中に脱落しないように注意するしかありません。

まず、香箱からガンギ車までの輪列を組んで、受けをかぶせます。前回も比較的すんなりと

決まりましたが、今回は一発ではまりました。

受けのネジを締めたら、香箱を回してみて、ガンギ車までがスムーズに回ることを確認します。

前回はこれをやる前にアンクルをつけてしまいました。結果オーライではありましたが。

次に角穴/丸穴車をつけて、アンクル、テンプをつけます。

ここで第三のトラブルが。テンプ受けの固定ネジが短く、締め付けできないのです。

ネジを間違えたかと思いましたが、外した物と同じネジです。ねじ山がひとつかかるかかからないか

くらいで固定されていたのを外したので、山をなめてしまったようです。

仕方がないのでホットグルーで仮留めしておき、作業を続けます。

クロノグラフの部品を組み付けていくのですが、前回と同様にカム以外の部品からつけていきました。

前回は問題なく組めたのですが、カムをつけるときに今回はなぜか少々慎重さを欠いてしまいました。

そのため、2-function lockというひげが生えた部品を破損してしまいました。しばし茫然・・・

これが第四のトラブル。
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気を取り直して、破損部分を補修することにしました。ひげが根元から折れているのですが、

今の自分にできるのは半田付けのみ。ということで半田付け。
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写真の状態では全然強度が足りず、二度目の補修でかなりがっちり半田を乗せてます。

これと前後して第五のトラブル。

カムを固定するネジを締めようとしてピンセットでつまんだ時、ふとよけいな力が入ってネジが

飛んでいきました。今までも何度も部品を落としたり飛ばしたりしながらも、なんだかんだで

必ず見つかっているのですが、今回だけは見つかりません。仕方がないのでテンプ受けを締めるには

長さが足りないネジを、ちょっと頭が小さいのですがカム締め付け用に使うことにしました。

ローター受けまで付けたところで、カレンダー側に移ります。
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写真内の丸で囲んであるバネ、ローター受けを取り付けた後に取り付けられることをつい先日知りました。

クロノグラフをリセットした状態でローター受けを外すと、このバネのせいでけっこうな勢いで

部品が飛び散り、組みなおすときもテンションが強くてかなり難儀するので、

今まではクロノをスタートさせた状態で取り外し・組み付けをしていました。この方法で特に不便は

感じていませんでしたが、僅差で後付けの方が楽かもしれません。

まあ、やり方が複数あるとわかっていれば、柔軟な対応ができる場面があるかもしれませんね。


つづく