パチギーゼ分解組立-1
プッシャーの手ごたえが硬い。しばらくしてストップさせようとしたところ、
プッシャーが空振りしてストップしません。どうも内部のレバーが押し込まれたまま戻ってこない模様。
やむを得ずそのままクロノを動かし続けたところ、25分後に秒針が停止。
竜頭を二段引いて戻したら動き始めましたが、1時間後にまた停止。竜頭操作では動き出さず、
もう昇天かと思いましたが、時計を振ったら動き始めました。
その後は帰宅するまでの2時間に2回停止するも、振ると動き出す状態。
帰宅後、裏蓋を開けてみますと、カランと落下するものが。よく見るとスタート/ストップレバーでした。
ネジが緩んだどころではなく完全に外れていました。これじゃあクロノが止まらないのは当たり前です。
レバーは締めなおせばいいのですが、クロノ稼働中に止まることが頻発しましたし、
手巻きもできないままですので、大義名分は十分あると判断し、そのまま分解に入りました。
ケースから取り出すため、機留めを二個外し、竜頭を取り、ひっくり返しました。
いつもならこれでムーブメントが出てくるのですが、今回はぜんぜん出てくる気配がありません。
ケースの中で回転はします。ここで気がつきました。この時計は、風防側から中身を取り出す
タイプなのです。ケースとムーブメントの間にスペーサーがないのはそういう理由だったのでした。
そこで一度裏蓋を閉め、ベゼル取り外しにかかります。コジアケの使い方はだんだん要領が
わかってきてますので、比較的スムーズに外すことができ、中身も無事取り出すことができました。
針を12時に合わせ、3本まとめて取ります。サブダイアルの針は、文字盤を浮かせることで取りました。
この時!最初のトラブルが。
いつもと違う感触だっだので針を見たら、なんとハカマがありません。歯車側に残ってしまっています。
そこでもう一本の方は剣抜きを使いました。でも、やっぱり歯車のほうにハカマが残りました。最低。
でも針だけ業者から取り寄せる手が残っていますので、今は作業を続けることにします。
文字盤を取り去った後に出てきたのはこんな顔。今までとずいぶん違います。
ネジを3本取って板を外してみると、その下はこんな感じでした。
ネジを3本取って板を外してみると、その下はこんな感じでした。
歯車をいくつも経由して、9時から6時まで移動してきていることがわかります。
ルビーもふんだんに使われており、決して粗雑な感じはありませんが、これだけ歯車を使っているなら
最終的に6時位置の秒針の動きがふらふらしていても仕方がないような気がします。
分解を続けます。本来、スモセコの針が取り付けられるところに新たな歯車が圧入され、
そこが秒針移動の起点になっています。
これを抜かないと裏側の四番車も抜けないのですが、抜く時ここにダメージを与えてしまったら
これを抜かないと裏側の四番車も抜けないのですが、抜く時ここにダメージを与えてしまったら
致命的なので抜かずに洗浄することにしました。
次に裏返して分解を続けます。こちらはほとんど7750/7751と同じなので、詳細は割愛します。
書いておきたいことは、テンプ受けのネジがガチと同じサイズであったこと、
香箱の中はほとんど油分がなかったこと(7751よりはあった)、それから手巻きができなかった理由が
よくわからないことくらいでしょうか。
写真の歯車がないと手巻きできますが、あるとできません。
でも、上の受けをちゃんとかぶせると手巻きできます。
つまり、ほんのちょっとのフリクションが手巻きできない不具合につながるようです。
ケースの中では小さなごみが複数見つかっているので、これが隙間に入り込んで
フリクションが発生したため手巻きができなかったのではないかと推測しています。
分解が完了しましたので、この後は超音波洗浄し、組立に入ります。
つづく