パチギーゼ分解組立-2
スムーズに回ることを確認します。その後アンクル、テンプを取り付けます。
頼んでおいたメービスの9415/2が届いたので、アンクルの爪石にこいつを注油。
ゼンマイを少し巻いたらテンプが振動を始めたので一安心。
そして前回の失敗を繰り返さないように注意しながら、クロノグラフ系の部品を取り付けていきます。
クロノ秒針を受け側に押している部品のテンションが、前回までのムーブより強いため
スイングピニオンを切り替えるレバーが浮き気味となり、受けをかぶせるのに時間がかかりましたが、
三日月状のバネとβの細いバネを後からつけられることがわかっていたのでその点は楽でした。
スタート、ストップ、リセットの感触、クロノ秒針車の動きも特に問題なし。
ひっくり返して日の裏側です。竜頭周りは一見複雑ですが、原理がわかってしまうと
比較的組立は楽で、今回はカレンダーがないので特に楽のはずでしたが、なぜか手こずりました。
一通り組み付けて、竜頭を回してみます。緊張の瞬間ですが、普通に軽く巻けたのでほっとしました。
さて、次に二番車の軸にdriver cannon wheelを圧入します。この部品は12時間積算計に
組み込まれていたクラッチ機構とほぼ同じ構造になっていて、時刻合わせの時に感じる抵抗感は、
この部品から発生しています。この時計はほとんど潤滑がされてないようでゴリゴリ感があります。
個人的には軽めのほうがいいし、途中の歯車の負荷を低減させる意味でも、十分グリスを与えておきます。
また、この部品は二番車への圧入深さが規定されているので、一応デジタルノギスで測りながら
押し込みました。指示は地板の上面からの深さが0.05mmですが、ノギスの測定値は0.07mmでした。
まあいいか。
そしていよいよ秒針移動輪列の組み立てです。ポイントはいかにフリクションロスを減らし、
かつ安定させるかということだと思います。微少トルクでたくさんの歯車輪列を駆動する場合の
潤滑セオリーはあるんでしょうか。専門家ではないのでわかりませんけど、頭の中でイメージすると、
潤滑油は不安定動作のもとになりそうな気がします。
だから、まずは一切潤滑油なしで組んでみることにします。
文字盤をつける前にクロノ秒針だけつけて、クロノをスタートさせて耐久テストです。
快調に動いているように見えましたが、約3時間後にあえなく停止。
そこで、給油するならここ、と決めていた箇所に給油してみることにしました。
ルビーが使われているこの歯車は、他の歯車が非常に軽く回るのに対して明らかに抵抗があります。
ルビーが使われているこの歯車は、他の歯車が非常に軽く回るのに対して明らかに抵抗があります。
それが不良なのかはわからないのですが、歯車同士のバックラッシュがフリーのままになっていると、
最後の歯車の動きはめちゃくちゃになると思われますから、それを抑制するために一箇所だけ
わざとフリクションを設定してあるということも考えられますね。
そのフリクションの量の適正値がわからないので、試行錯誤が必要になるかもしれません。
油は、こいつを使います。
ナノレベルのダイヤモンド粒子が含まれていて、油分が飛んでしまった後もダイヤモンド粒子が
ボールベアリングの役目をして潤滑をし続ける、という能書きです。
100%信用はしていませんが、期待はしています。
時計が停止したままの状態で、この歯車の軸根元に給油してみました。すると、5,6秒たったころ
勝手に動き出しました! 感動しますた。
しかし、ランニングテストを再開して4時間後に見るとすでに止まっていました(;_;)
竜頭操作では動き出さないので、窓から見えている歯車をつついてやったら動き始めました。
また数時間後には止まっているんだろうなと思いつつ、ゼンマイを巻いてそのまま外出。
約40時間後に帰宅したら、もちろん時計は止まっていましたが、ゼンマイがだいぶほどけている様子。
思いのほか長時間動いていたようです。ゼンマイをまき直していたら動き始めました。その後24時間
経過しても動いていたので、いったんすべて組み上げてみることにしました。
文字盤をつけて、センター針をつけたあと、ハカマのない30分積算計針を軸に残ったハカマに
押し込んだところ、驚くほどうまくついたのでその勢いで秒針も押し込んだら、「ゴキッ」という
音とともに文字盤の上に出ているはずの軸が消えてしまいました。折れたみたいです(;_;)
ガチに存在する部品だったら手に入るんですが、さすがに中華製ムーブの単品部品を入手する術は
わからないので、どうしようもないですね。
秒針は両面テープで貼り付け、秒針無し30分クロノグラフとして使うしかありません。
まあクロノグラフとして使える(かもしれない)だけマシですかねえ。
しかしこの結末は予想しなかったなー、どっと疲れが・・・