ENICAR ULTRASONIC MINOR
ENICARという名前だけは知っていたものの、どんな会社でどんな時計を作っていたのかは
まったく知りませんでしたが、程度が悪くないものが2個セットで安価に出品されていたので落札しました。
知らない時計でも、三振手巻き飲んで意図なら情報がなくても元に戻すことは可能だろうという予測です。
届いた時計はどちらもULTRASONICというモデルで、テンワの振動は弱弱しいですが内部の汚れは
あまりなく、何とかなりそうです。今回はまず文字盤に「MINOR」と書いてあるこちらについて書く
ことにします。
直径は33mmでとても小さく感じますが、ステンレスのケースとスクリューバックを持ち、
直径は33mmでとても小さく感じますが、ステンレスのケースとスクリューバックを持ち、
日常生活防水を備えていたようです。文字盤にはブツブツができていて、針やインデックスも腐食が
始まっていてくすんでいますし、針の跡が文字盤に移っています。12-3-6-9のインデックス外側には
黒い点がありますが、かつては蓄光材がついていたのかもしれないような状態です。
デザインとしては秒針先端の赤が効いていると思います。裏蓋を開けますと、チラネジのついたテンワや
ピカピカに磨かれたネジ、面取り部を磨いてある受けや角穴車、丸穴車が見えます。
中華ムーブなどを見慣れた目にはとてもいい仕上げの部品に見えます。
中華ムーブなどを見慣れた目にはとてもいい仕上げの部品に見えます。
これらを写真を撮りながら分解していきます。非常に小さなネジを使っている部分があり、
そこがちょっとてこずりました。また、テンプ受けの耐震装置の石押さえを外そうとしたとき、
二股のうち片方が折れてしまいました。やっちまったーと思いましたが、片方だけでなんとか石の脱落は防止できそうです。
さて、分解が終わり、洗浄もしました。さっそく組立に入ります。
今までの7750シリーズは輪列受けのかぶせにまったく苦労しませんでしたが、
この時計ではガンギ車がなかなか決まらず、けっこう苦労しました。
輪列受け取り付け後、香箱から四番車までがスムーズに回ることを確認し、アンクル、テンプを組み付け、
日の裏側を組み付けて完了。
歯車やホゾの磨耗がなかったので、清掃と潤滑だけで復活しました。タイムグラファーにかけると
姿勢差はそれなりにあるようですが、もう少し歩度を追い込めば実用としては十分いけそうです。
文字盤のブツブツは取れませんでしたが、針のくすみはけっこう取れました。ケースは大きな傷もないので
汚れをふき取っただけ、風防はコンパウンドで磨き、ムーブメントを収めました。
ラグの内寸は16mm。もうひとつのENICARに付いていた17mmのストラップの幅を落として
取りつけてみました。時計自体が小さいので、私が手首につけるとおかしくないかどうかが不安でしたが、
それほどでもなさそう(そう思うのは自分だけかも)。