SEIKO Speed Timer 6139-7120 ②

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驚いたのは、偶然にもその日、店主がスピードタイマーのオーバーホールをやっていたことなんです。

それは自分のスピードタイマーとは比較にならないくらいぴかぴかの個体で、

どこかの業者がデッドストック品を整備に出したのではないか、そんな風にも思えました。

作業台の上には、それ以外にもオメガのトリプルカレンダーがばらばらになって載っていました。

最初の訪問時の話し方ではクロノグラフはようやらんような感じだったのに、やってるじゃん。

「すごいですね」と言ったら、壁を指差しながら「この県で最初の一級時計師だ」みたいなことを

言いながらニヤリとしてました。

でも技術はともかく、ばらばらになった部品が無造作に箱に入れられているのを見ると、

ちょっと悲しい感じがしますね。


それからもうひとつ驚いたことは、最近自分と同じような目的でこの店を訪れた隣町の人間が

二人いるらしいことです。詳細はわかりませんが、インターネットがどうこう言ってました。

これはうかうかしていられませんね(何がだ)。


さて、この先の組立はゼンマイが手に入るかどうかがはっきりしてからでもよかったのですが、

違うゼンマイを入れたらどうなるのかということにも興味があったので、そのまま組立を続行しました。

この機械は秒針の受けまで取り付けないと動作が確認できないみたいので不安でしたが、

ありあわせのゼンマイを入れても動くことは確認できました。片振りが大きいですが、

歩度はそれほど狂っていないようです。

なにしろオリジナルの状態がわからないので、何が正しいのかよくわからないのは困ったもんです。


機械はだいたい終わりましたので、次は文字盤です。表面のかびのようなものを落とすべく洗剤をつけて

ごしごしやったら、多少きれいになりましたが汚れ以外のものも落ちた感じ。まあいいやということで

次にインデックスの蓄光を塗り直しました。使ったのはよく行くホームセンターで投げ売りしていた

「るみっこパウダー」のブルー。ブルーと言っても発光色は青緑です。こいつを基剤に混ぜて、

インデックスに盛りつけていきます。

さて、取れている足はそのままにして組んでしまおうかと思いましたが、文字盤が固定されていないと

クロノ秒針とインデックスのズレが問題になるのではないかと思うので、固定せざるを得ません。

半田付けはうまくいきそうにないので、エポキシ系接着剤を使うことにしました。

足をムーブメントに取り付け、文字盤側の足が生えていた部分に接着剤を塗り、

平置きしたムーブメントの上に置いて中心を出し、そのまま放置。何とかくっつきました。

そして針を取り付け、風防とタキメーターリングを外したケースに入れます。竜頭を取り付け、

ウエーブリングの代わりにOリングを入れて裏蓋を閉め、ムーブメントを固定したところで

文字盤側からタキメーターリングを接着し、風防をかぶせます。純正でないせいか、

簡単に手で入りました。防水はまったく期待できません。
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順調に進んだように書いてますが、実際には文字盤の足の固定がずれてしまったので両面テープでの

固定に変更したり、タキメーターリングが接着剤ではつかなかったので両面テープにしたり、

いろいろやり直しが入っています。秒針のハカマも緩いみたいで、復針させると微妙にずれます。

ハカマを締め直さないといけないようですが、今のところはズレたら逆方向からリセットすることで

しのいでいます。

(具体的に書くと、30秒より前の状態でリセットするとプラス側にずれるので、その場合はもう一度

クロノを始動し、30秒を過ぎたところでリセットし、逆にずれさせることで結果としてほぼゼロに戻す

というやり方。いつまでも使える手ではないと思います。)


この時計のケース形状は特殊なので、汎用ストラップはそのまま使えないと思います。

しかし、ここまで手をかけたらしばらくは使いたいので、安いウレタンバンドを買ってきて、加工しました。

末永く使うつもりはないので(^_^;かなりラフな加工です。何日か使ってみましたが、裏蓋の

形状のせいで装着感にちょっと難があるものの、ゼンマイを弱いものに換えてある割には時計機能も

クロノグラフも表面上はちゃんと動いているので、ほっとしています。
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(注:この内容は、web上に整備マニュアルがあることを教えてもらう前に実施したものです。)