RADO Golden Horse 30J

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今回はラドーの金馬、30Jです。ア.シールドの機械を搭載しているそうです。

手に入れた個体はこれ。ケースの傷はどうにかなるとしても、文字盤はかなり傷んでいる様子。
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では分解に入りましょう、ということで3爪オープナーを使って開けようとしましたが、

なかなか開きません。何度か爪を滑らせてしまったので、これ以上の傷を避けるため

CRC5-56をたっぷり塗布して一週間放置し、トライ。

しかし、ついに爪の先端が折れてしまいました。そこで、空いていたもう一つの爪と交換し、再挑戦。

ですがやはり開かず、また爪の先端を折ってしまいました。

手持ちの工具では一番の破壊力を持つと思っていたやつでも歯が立たないので、諦めの気持ちも

少々わいてきたのですが、最後の手段としてホットグルーに賭けてみることにしました。

何度か失敗し、ついに成功したときにはこのようなことになっていました。
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開けてわかったのですが、普通のスクリューバックではなく、圧力鍋の蓋のような固定方法なんですね。

裏蓋の内側には30゚ひねるみたいなことがかいてありますが、外に書といてくれ、って感じです。


中の機械はローターが粉を吹いていましたが、それ以外はきれいです。
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最後のOHは昭和50年?
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自動巻ユニットを外して、ばらしてみました。こんな感じ。
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針を抜いて、日の裏側から分解していきます。カレンダーは瞬時切り換えですが、

早送り機構がないので比較的簡単な構造です。
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地板にはASのマークと1902/03、1858の刻印が。
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1902/03はCal. No.と思いますが、1858は部品番号でしょうか。マークの輪郭は、今のETAに引き継がれているんですね。

輪列はこのようになっています。
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腕の太い歯車が二番ですが、そこに接続している銀色の歯車が自動巻ユニットからの伝え車です。

この伝え車には穴が8個明いていますが、そのうち5個はピンク色をしています。どうも人工ルビーを

飾り石として穴にはめこんであるようです。

本当は8個すべてにルビーが入っていたと思いますが、これまでに脱落してしまったのでしょう。
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そしてこれが二番車ですが、ロードマチックと同様、ここに摩擦車の機能が組み込まれているようです。
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香箱内はそこそこ汚れているため、ここはやはり洗いたいので、これまでの反省をふまえて慎重に

作業します(香箱真は外しておく、ゼンマイの取り出しは焦らず、確実に)。
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無事分解できたので洗って、グリスを塗って、外端から巻いていきます。なんとか完了。
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香箱と蓋に三角マークがあったので、一応合わせておきました。
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他の部品も洗浄し、組立です。ざら回しはOKだったのでアンクルを取り付け、角穴丸穴車をつけて

アンクルの動きを確認した後、テンプ取り付け。ここでテンワが元気に動いてくれるとほっとします。

この後、日の裏の組立をしました。特に問題はなく、どんどん組んでいきます。
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この時計の日付瞬時切り換えはわかりやすい構造でした。手前にある銀色の歯車①の裏側には曲玉状の

カムがあって、歯車の回転により左にあるレバー②を押していきます。このレバーから出ている爪③が

日板の内爪に沿って移動し、乗り越えたころにカムからレバー②が開放され、バネ④によって戻る時に

爪③が日板を回す、というしくみです。

その後、文字盤と針をつけ、ケースにおさめてスペーサー兼機械押さえのリング、自動巻ユニット、

Oリングをつけて裏蓋を締めて完成。

文字盤は、やっぱりあまりきれいにならず。汚れと一緒に、文字の一部も取れてしまいました。

でもイカリはくるくるよく回ります。

分解組立をしながら、30石の内訳を確認したので書いておきます。

香箱受け 1
輪列受け 4
地板   6
テンプ  3
アンクル 3
自動巻ユニット 12(伝え車の8個を含む)

これで29個。やっぱり1個見つからない・・・と思ったらありましたよ。文字盤のイカリが

ついているピンクの板。これもルビーみたいです。これで30個になりました。

ただし、この個体は伝え車に3個脱落があるので27石ということになります。

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