SEIKO Lord Marvel 5740-1990

5振動のロードマーベルです。秒針規正が付いている型で、裏蓋側にガスケットがついていましたが

これは5740Aの後期モデルになるのでしょうか?
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裏蓋を開けると錆びがありますが、機械は洗えば何とかなりそうです。
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不動品ですが、その状態は・・・竜頭を少し回すとちょっと巻き上げた後にジャッと一気に解放される

感じ。どこかの歯車が欠けているような症状です。とりあえず分解していきます。
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歯車を観察しながら分解洗浄を行いましたが、歯車が欠けているようなところは見られなかったので、

組み立てに入りました。輪列受けをかぶせてザラ回しをしたところ、三番車があり得ない動きをしました。

歯車の欠けではなく、三番車のホゾ(地板側)が折れていたようです。
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三番車の交換しか手はないわけですが、調べてみますとこの部品はクラウンからロードマーベル36000

まで、いくつかのモデルに流用されていたようなので、部品調達は比較的容易だと思われます。










ということで、ジャンクのクラウンを入手しましたので、こいつから三番車を取り出します。

お気づきの方もおられると思いますが、このドナーは最初のクラウンに主ゼンマイを

提供した個体です。今度はロードマーベルに三番車を提供します。

さて、ホゾの折れた三番車とドナーから取り出した三番車を並べてみました。問題なさそうです。

なんだか、同じ部品なのかな?という気もしますが(^_^;
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こいつを洗浄して組み込み、一通り組み上げました。そしてゼンマイを巻こうとおもむろに

竜頭を回したところ、またもや異常が。

竜頭を回していると、どこかの歯車の噛み合いが時々一瞬外れるんです。

角穴ネジをドライバーで回すと普通に巻き上がりますので、角穴車から輪列側は問題なさそう。

角穴車と香箱真も四角が合っているし、角穴車と丸穴車がちゃんと噛み合っていることも

一目瞭然ですので、残るのは丸穴車と吉車の噛み合いだけです。

そこでこれらを外して拡大鏡で見てみたのですが、明らかな磨耗や欠けは見られません。

ネットで部品番号を調べて見ますと、丸穴車・吉車もクラウンと共通であることがわかったので、

ドナーから取り出して比べてみました。左が異常品、右がドナーです。
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左側の吉車の歯が痩せている感じはありますが、これが影響しているのでしょうか。

それでも交換しか残された手がないので、組み替えます。

念のため、丸穴車もセットで交換しました。そして、祈るような思いで竜頭を回したところ、

無事に巻き上げることができました。これでようやく5740Aロードマーベルの組立が完了しました。

たまたま共通部品の多い時計同士だったことが幸いしたわけですが、ドナーひとつで

二つの時計が復活したのは感慨深いものがあります。
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