TECHNOS AUTOMATIC 25JEWELS

ロゴデザインがずいぶん古めかしい印象を与えます。
イメージ 1

裏蓋の絵も古めかしい。何かの紋章のようです。
イメージ 2


いつ頃の製造なんでしょうか。ケースもかなり傷んでいますが、文字盤はやけにきれい。

竜頭は相当すり減っている上、ケースとの間にワッシャーが挟んであります。

裏蓋を開けてみると、銅メッキした機械が見えました。傷みはあまりないようです。
イメージ 3

では、さっそく分解しましょう。

ローターはユニットの裏側からネジでとめてあるようですので、まずユニットを外します。

裏のネジを緩めてローターを外します。かなり大きなルビーが付いていますね。
イメージ 4


自動巻ユニットも分解します。
イメージ 5


そして巻真を抜くためオシドリピンを緩めましたが、巻真が抜けません。ピンとオシドリが分離

するまで緩めても抜けないので、ケースに入れたまま分解を続けます。

丸穴車が2階建てです。下が手巻き、上が自動巻ユニットにつながっていて、ここが

切換車になっているようです。
イメージ 6


鼓車が見えるまでばらしても巻真が抜けないので、強引に引っ張ったらやっと抜けました。

文字盤はかなりきれいですが、ロゴやインデックスの付け根に白い汚れのようなものがあります。
イメージ 7

擦ったくらいでは取れないので、そのままに。

文字盤を外すと、今までの機械にはない構造が見られました。地板を見ると、ETA1258と書いてあります。

日車を押さえているのは機留め板のような板2枚だけ。伝え車にも座金が使われているのは初めて。
イメージ 8


日の裏押さえがただの鉄板ではなく、輪列や香箱の受けと似たつくり。

でも一番驚いたのは、日ジャンパーの構造。今までは馬の首みたいな部品とバネだけか、一体物

でしたが、この機械はなんとローラーが使われています。日車の爪を乗り越えるときの抵抗が少なく、

安定していて位置決めも確実であると予想されます。
イメージ 9


プレス一発部品でも用は足りるのかもしれませんが、こういうオーバークオリティは変態の心を

くすぐりますね。

さて、日の裏押さえを外すと、何かおかしな光景が。よく見ると、オシドリ押さえが折れています。
イメージ 10

巻真が抜けなかったのはこのせいかな。無理に抜いたから折れたわけではないと思うけど。

このままでは竜頭がフラフラになりそうな予感。ETA1258なんて今まで見たことないしなあ。

どうなるかわからないけど、分解を続けます。

輪列は、ETAでありながらいわゆるETA輪列ではありません。普通のやつみたいです。
イメージ 11



そして洗浄後組立ですが、洗浄中に地板からルビーが脱落。真ん中の穴から落ちたようです。
イメージ 12


撮った写真には写っていないので、裏表がわかりません。当てずっぽうで入れます。

輪列を組んで(香箱の擦れ痕が気になりますが、何かに当たっている感じはありません)、
イメージ 13
イメージ 14


日の裏側を組んで(折れた裏押さえはとりあえず再利用)、文字盤と針を取り付け、ケースへ。
イメージ 15
イメージ 16
イメージ 17


ケース、裏蓋と風防は今まで通り磨いてあります。そして自動巻ユニットを組み立てて取り付け。
イメージ 18
イメージ 19


竜頭も交換したいのですが、とりあえず元のままにしておきましょう。ドナーとなる1258はなかなか

見つからないでしょうから、ゆっくり探すことにします。

途中で気づいたのですが、文字盤にはインカブロックではなくインカエロックと描いてあります。
イメージ 20


文字がはげたにしてはきれいにBからEになってます。まあ、ただそれだけです。


時計としてはともかく、ETA1258は現行ムーブメントとは違う思想で作られているようで、

なかなかおもしろいと思いました。
イメージ 21