Orient Fineness ULTRA MATIC

オリエントのファインネス ウルトラマティック35石です。
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あ、写真を間違えました。こちらです。
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なんとなく大げさなモデル名は、ULTRA thin autoMATICから来ているのではないかと推測します。

ネット情報によれば、Cal.番号は3900、登場は'66年、オリエント初の薄型自動巻キャリバーとのこと。

時計の印象は、シチズンのカトラスに近いですね。

ワンピースケース、ジョイント巻真、中抜きの針という点も似ています。

まずは風防を外します。文字盤、針は申し分なし。
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機械も申し分なしです。
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特徴的なのはカレンダーの表示方法で、通常の日付窓程度の大きさ内に日付と曜日を表示します。

ご想像の通り、曜車と日車を重ね、曜車の切り欠きから下の日付を見せているわけです。
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曜車を取り外すとこうなります。
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曜車のジャンパーがちょっと変わってる以外は、普通の構造です。

巻真まわりもけっこう簡素です。吉車がないことから手巻き不可で、カレンダーの早送りもできない

ようです。
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輪列側はローターを外すとこうなっていますが、どこかで見たような割り方じゃないですか?
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当然細かいところは違うのですが、シチズンのクリスタルセブン・レオパール

セイコーセイコーマチックとよく似ています。薄さを追求するとこうなってしまう、

ということでしょうか。セイコーマチックはそれほど薄くないですけど、レオパールあたりは

手巻きも早送りもハックもできることを考えると、大したものじゃないでしょうか。

セイコーの56系はもっと薄いかもしれませんけど。


それはさておき、分解を続けます。
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二番受けのあたりはセイコーマチックそっくり。
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秒かなの下にある板バネは、中間にあるネジを上下することでテンションを変えられ、秒針の

ふらつきをコントロールできるようになっているそうです。

秒針のふらつきは、秒かなを使った時計とか秒針車がガンギ車と直接噛み合っていない構造の時計の

宿命みたいですが、シチズンの場合は二枚重ねの三番車を使うことで対応しています。


部品洗浄後は組立です。いつも最初に日の裏側の耐震装置を取り付けるのですが、実は分解時に

バネが取れてしまいました。インカブロックの機械は何個もやりましたけど、バネが取れたことは

今まで一度もありません。いやな予感はしたんですけど、案の定なかなか地板にはまりません。

はまったように見えても、石を入れるためにバネを起こすと「ピン」と飛んでしまいます。2回くらい

繰り返したら見つからなくなってしまいました。しばらく泣きながら探しましたが見つからないので

ジャンクからもらうことにしました。しかし、取ろうと思っても取れない。なんでさっきは

取れてしまったんだろう。地板側のバネは壊してしまったので、テンプ受けをばらばらにして

ようやくバネの摘出に成功。今度は飛ばさないように先に石をつけておき、支点部分を引っかけたら

そのまま二股側をはめ込み、なんとか事なきを得ました。

これだけ苦労しているのに、作業の結果は分解の逆ってだけなので、同じような写真になってしまいます。
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輪列受けの保油バネはセイコーのダイヤフィックスに似ていますが、分解時になかなか取れず、

一個かなり変形させてしまいました。なんとか修正したものの、取り付けの時にまた変形。

修正を繰り返すと折れそうなので、不本意ではありますが曲がったままにしました。
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拡大写真だと傷だらけですね(^_^;

この後は自動巻の歯車をつけて
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受けをつけて
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日の裏側を組んで
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ローターをつけて
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文字盤と針をつけてケースに入れて風防をかぶせて完了。
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今回はちょっと気合いを入れて、ノーミスで終わろうと思っていたんですけど、そうは問屋が・・・

保油バネを変形させてしまったのが返す返すも残念です。