SEIKO Gold Feather 25J

オールドセイコー掲示板を見ていると、何度か登場する時計です。薄さを追求した機械だとか。

最初はあまり興味がなかったのですが、だんだん手を広げていくと、自然に射程範囲に入ってきます。

オークションでも程度次第でそれなりの価格になる時が多いのですが、こいつは文字盤が汚いためか、

それほど値が上がりませんでした。
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文字盤の汚い時計を入手すると、後悔することが多いのですが、今回はちょっともくろみがありました。

同じ時計用の文字盤でちょっとデザインが違うものが出ていたので、それに交換しようと考えたのです。

ところが、届いた文字盤は歪みがひどく、修正を余儀なくされました。商品説明は歪みのことは

全く触れておらず、写真でも全然わかりませんでした。

それでも今付いている文字盤よりはきれいなので、がまんします。

裏蓋を開けると、機留めネジが1個取れているのを発見。ネジは中に残ったままです。今までは

ピンセットの先でこちょこちょやっていると抜けたのですが、今回は抜けないので諦めました。

文字盤を外すと、ちょっと異様な光景が。裏押さえが変です。妙な加工痕があります。
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どうも、オシドリ押さえが折れたので違う部品を溶接してあるようです。

ETA1258を思い出してしまいました。

見た目は悪いのですが、それでも一応機能はしているようですので、この作業を行った時計師に

敬意を表してこのまま使うことにしました。

日の裏側を分解した後、表に移ります。
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輪列受けを外すと、なんだか歯車が多いような気がします。
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四番車の下の受けを外すと、こんな構造になっていました。
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通常の二番車がカナだけになったような状態です。たぶん、薄さを追求した結果だと思いますが。

この分針カナには回転を片方向に規制するコハゼが噛み合っていますが、このコハゼが必要な理由は

おそらく分針のふらつき防止でしょう。

分針カナは香箱車とつながっていますが、二番~四番~ガンギ車の連結とは無関係なので、香箱車との

噛み合いのバックラッシュの分、ふらつく可能性があります。そこでコハゼで反時計方向にカナを

押しつけ、香箱車からの駆動力と拮抗させているのだと思われます。


洗浄が終わったら組立です。分針カナとコハゼと香箱を置きます。
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分針カナ受けを取り付け、輪列を組み、受けをかぶせます。
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丸穴車、角穴車、コハゼ、テンプをつけて表側は完了。
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日の裏側も元通り組んで、文字盤をかぶせて針をつけました。

ところが、針がうまく付きません。取り付けて針回しをすると、どうしても引っかかるところが

あります。そこで引っかからないようにすると、針が十分筒に挿せず、空回りしてしまいます。

どうも、妙な立体感のある日の裏押さえが文字盤に干渉しているため、針と文字盤の隙間がかなり

小さくなっているようです。

こうなると、日の裏押さえ交換しかないですよね。たまたま、この部品がオークションに出品されて

いたので、高いとは思いつつ落札。左が不具合品、右が新品です。
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早速交換しました。
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これでようやく完成です。実は、風防にひび割れがいくつかあり、交換が必要な状態なのですが、

今オークションに出ているものを買うと、合計が最初からまともなものを入手するのと変わらない

くらいの出費になるので、悩んでいます。

これも後になればいい思い出でしょうが。
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