CRONOS?のその後

機械・ケースの整備は終わりましたので、次は最大の難所、文字盤の修復です。

作業は大きく分けてふたつ。ひとつは文字盤に貼るシールのデザイン、もうひとつは文字盤の下地

作りです。シールは、エーワンの「転写シール」という素っ気ない名前の製品を使いました。


まずは文字盤です。本当はインデックスを全部外して塗装したかったのですが、外れないのでそのまま

作業します。インデックスにかからないように紙ヤスリをかけ、インデックスの上にマスキング液を塗布。

そして全体に塗装します。今回は以前からあった車のタッチアップペイント、プレミアムホワイトパール

を刷毛塗りしました。思ったよりムラがひどく、こりゃやり直した方がいいかな、と思いましたが、

完成後のやり直しも可能なので、とりあえずこれでどうなるか試すことにしました。

2度ほど重ね塗りし、乾いたところでマスキングを剥がし、文字盤は完了。
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次はデザインです。デザインするのはペットネーム、ダイヤショックロゴ、分マーカーだけですが、

キモはペットネームロゴをどうするかです。オリジナルのロゴが妥当ですが、高品質のロゴ画像が

手に入らなかったのと、古くさい筆記体があまり好きではないので、裏蓋のロゴを使うことにしました。

こちらの方が今でも通用する書体だと思います。

裏蓋の写真を撮り、ロゴだけを取り出します。ダイヤショックも、同じ21石の時計から拝借します。

文字盤の各部の寸法を測り、それをエクセルで図形にしていきます。インデックス、日付窓部分を

くりぬく必要があるのでちょっと面倒です。さらに分マーカーも、コピー&ペースト&回転を

繰り返しながら書いていきます。技術はいりませんが、面倒くさい作業です。


文字盤の輪郭とインデックス、日付窓、分マーカーが書けたら、先ほど作ったロゴ画像を反転して

貼り付けます。日付窓の位置も反転した位置にしてあります。

これを「転写シール」に印刷します。はがきサイズに6個分印刷しました。
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印刷後、十分乾燥させたらのりシートを貼ります。そして、インデックスと日付窓を線に沿って

切り抜きます。そして丸く切り取ったらいよいよ最終段階です。
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シールのフィルムを剥がして文字盤に合わせます。インデックスをくりぬいてあるので、位置合わせが

しやすかったのはけがの功名でしょうか。

空気を押し出すように、カーブに沿って擦り、密着させます。
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転写シールの取説では、水をたっぷり含ませたティッシュ等を使うことになっていますが、

濡れて困るものではないので、そのまま水をかけました。そして、台紙を滑らせるように剥がします。

剥がした後にしわや余分な水分を取りながら仕上げて完成。
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文字盤に塗装した段階では、ムラがひどくてやり直しが必要と思ったのですが、できあがってみると

転写シールがアラをけっこう隠してくれたようで、まずまずです。下地塗装にスプレーを使えば

さらにきれいに仕上がると思います。

最初の実験的な試みとしては、まあまあの結果になったなあと思いながら組立を行ったのですが、

文字盤を固定するときに文字盤のロゴを擦ってしまったようで、字が読めなくなりました。

さすがにこれでは組立を続行するわけにはいかず、やり直しとなりました。

転写シールは曲面にも追従する特徴は利点なのですが、それが仇となって常に柔らかい状態なので、

本来は文字盤補修には向いていないのかもしれません。オーバーホールのたびに貼り替えが必要に

なる可能性があります。


それはともかく、せっかくやり直すのなら塗装はスプレーにしようということで、カインズホームに行って

198円のアクリルスプレーを買い、さっそく塗装しました。
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やはりスプレーだと違いますね。これならさらにきれいに仕上がるはずです。

十分乾燥させてから、前回と同様にインデックスをくりぬいたシールを貼ります。

水をかけて台紙を剥がして・・・
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うーん、やっぱ違うわ。結果的にやり直しになってよかったってことですね。

今度は文字盤面に触らないように注意しながら組立。
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思いの外うまくいったので、文字盤を何とかしたい他の時計でも試してみたいと思います。