TECHNOS AUTOMATIC Deluxe

シルバー系ボンベ文字盤、ステンレスケース、というのが最近の好みのようで、似たような時計ばかり

集まっています。今回はテクノスのオートマチックデラックス。何の特徴もない名前ですが、

古いテクノスはいろいろな機械を採用していたようなので、何が入っているかを見るのも楽しみの一つです。
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相当苦労して裏蓋を開けると、中には銅メッキの機械が入っていました。No.は2472のようです。
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けっこう変色してますが、メタルクリーナーで洗うとかなりきれいになるはずです。点々とついたシミは

取れないかもしれません。
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ローターが自動巻ユニット裏側から固定されているタイプなので、ユニットごと外してから日の裏側を

分解します。
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左上の部分が瞬時日送り機構だと思いますが、今までの機械とは少し形状が違うようです。
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なかなか外れなかったんですが、組む時どうしようか、一抹の不安はありました。

輪列側です。
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こちら側で2824などと一番違うところは、丸穴車のところでしょうか。2824とか2789などは

ローターによって角穴車が回された時に、丸穴車がスイングしてやり過ごすようになっています。

2472も同様なのですが、2824とか2789などが一番受けの表に部品が全部取り付くのに対し、

2472は一番受けを丸穴車と別の部品で挟み込んでいます。スイングの支点もちゃんと作られています。

2824などは、特に支点はありません。そんなにたいしたことじゃないと言えばその通りですが。
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上の写真の香箱右下にある部品が、一番受けの裏側につく部品です。

香箱には、中からしみ出してきて固まったと思われるグリスが付着しています。
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中もそれなりに汚れていましたので洗いました。 

文字盤、針、日車以外を洗浄し、組立に入ります。地板に注油したインカブロックを付けてから

ひっくり返し、輪列を組み付けます。
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前述の一番受けの裏はこうなっています。
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一番受け、輪列受け、丸穴車、角穴車、コハゼをつけて、ガンギ車に注油します。
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「2472」とETAのマークが刻印されているのが見えます。

テンプをつけて、注油したインカブロックを乗せてバネで留めます。
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やっぱり点々とついたシミは取れませんでした。ちょっと汚いですね。

日の裏側も、軸に注油しながら組み付けていきます。
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そして今回のクライマックス、日送り車の取り付けです。まるでパズルのようでした。

結局、写真のような位置関係にすれば、すっと組み付けできることがわかりました。
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日送り車の上プレートにある2つの切り欠きにも意味があって、日車を取り付けるときの逃げに

なっています。

日車、ジャンパー、日車押さえをつけて
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文字盤と針をつけて
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ケースに入れて自動巻ユニットをつけて
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完成です。
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文字盤がちょっと傷んでいるのと、研磨時にベゼルが折れてしまったのが残念です。

今は接着剤で固定していますが、ベゼルが切れている時計が他にもあるので、

何かいい手がないか考えています。旋盤があれば自作に挑戦してもいいんですけどね・・・

ETAの古い機械では、パワーリザーブが短くなっているものがたまにありました。作業の不備によるのか、

これまでの使用による摩耗等でフリクションが多くなっているのかはわかりませんが、今回は

一日使って手首から外して44時間動いていましたので、実用上問題ないレベルです。