CITIZEN JET AUTOMATIC 21J

新年第二弾はシチズンのジェット21石です。デッドストック級ということで、ブレスに巻かれた

ぼろぼろのタグが誇らしげでしたが、届いた商品は予想以上にスレ多数の品。経過年数を考えれば

仕方ないところでしょうか。
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ブレスをよく見ると、弓環とのつながり、弓環とラグの建て付け等、どう見ても非純正品の後付け臭さ

ぷんぷん。クラスプのどこにもシチズンのロゴはありません。やられてしまったのかもしれませんが、

仕方がないですね。


裏蓋を開けますと、さすがに機械はぴかぴか。と思ったら、部分的に変色があります。これもやむを得ず

といったところでしょうか。メタルクリーナーでどこまで落とせるか。
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ベゼルを外して機械を取り出し、針を外そうとしたところ、時針と文字盤の間隔が大変狭く、傷防止

カバーがようやく入る程度の隙間しかないため剣抜きが使えません。時針と分針の隙間は多少広かったので

まずは分針と秒針だけ外しました。この状態で文字盤を外すと、筒車がくっついた状態で外れますので

ここからどうするか考えます。

筒車をつまんで引っ張っても外れるはずですが、変形させたらまずいので、筒車の内径よりちょっと

太いポンチを使って叩き抜く方法を取ることにしました。叩くといっても、もちろん軽くですよ。

なんとか無傷で外すことができました。日の裏側の写真です。カレンダーがないのでシンプルです。
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カンヌキ押さえを外したところです。ごく一般的な構造ですが、オシドリ押さえが上ではなく

下にあるのが特徴的です。
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次に輪列側の分解です。外すネジを間違えてしまい、この時計の特徴である自動巻が輪列受けごと

ごっそり外れてしまいました。写真は基本輪列です。
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丸穴車の中心から出ている細長い針金は、自動巻のコハゼバネです。

香箱ですが・・・中はきれいで、スリップ面にはモリブデンも残っているようです。どうするか

迷いましたが、グリスを追加するだけにしました。
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洗浄後、組立です。変色がメタルクリーナーでどこまで落ちるかが楽しみでしたが、ほとんど落ちなかった

ようです。残念。香箱、二番車、二番受け、輪列、一番受け・輪列受けを取り付け、ザラ回し後

丸穴角穴車取り付け、アンクル取り付け、注油、テンプ取り付けをします。途中の写真は取り忘れました。
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輪列受けの上に自動巻の輪列を組み付けます。自動巻の車とは思えないほど大きいです。
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丸穴車から出ているコハゼバネは、その先の鳩みたいなコハゼのしっぽにあるスリットに入ってコハゼを

銀色の歯車に押しつけるのですが、ここではまだ外してあります。

自動巻の受けを取り付け、揺動車とでも呼ぶのでしょうか、ローターの回転方向に合わせて揺動する

部品を取り付けます。
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ローターは機留めのような板3枚で留められるのですが、その内の一枚がどうも変形しているようです。
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裏側も亀裂のようなものがあるようなないような。とりあえず、ジャンクから部品を取って交換して

おきます。

ローターを左右に回してみて、コハゼがちゃんと効いているかを「21」の下に明いている穴から見て

確認します。
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日の裏側も組み立てます。
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ケースと風防は磨きました。ただ、裏蓋は表面に何かコーティングがしてあるようで、除去も磨きも

うまくいかないので放置することにしました。
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半日動かして、ちょっと遅れていることがわかったので調整しました。
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実際の精度とは違うし、今後どんどん変化していくはずですが、こういうのは滅多にないので記念に

撮っておきました(^_^;

一応完成です。スレは多かったものの、もともとそんなにひどい状態ではなかったので、写真では

ちょっと光沢が増して見える程度です。
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この時計、手巻きの手応えがかなり重いです。ローターの回転を減速させながら角穴車を回す輪列を、

手巻きの時には逆から回すことになるので、重いのは当たり前と思いますが、こんなに重いのかな。

どこか間違えたかなとさえ思ってしまいます。