GRUEN PRECISION AUTOWIND

グリューエンの時計は初めて分解します。ブランドよりは、ハーフローターというところと、手頃な

価格というところに惹かれて入手しました。文字盤はいかにも長い時間を経てきた感じがしますが、

汚い中にも味がある、そんな印象を受けます。アラビア数字のインデックスには夜光塗料が塗られていた

ようですが、今はわずかに残っている程度。これがなければもともとこういうものと思ってしまったかも

しれません。

また針は青焼きのようですが、一部さびていて、夜光塗料もほとんど脱落しています。
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よっぽど塗料を入れようかと思ったのですが、アンバランスになるのでやめました。


オリジナルのケースの表面がどうなっていたのかわからないのですが、こいつは後からいじったような

痕跡が全体に残っています。とりあえずつるぴかにしようと思います。
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中の機械は意外にきれい。462というCal.のようです。
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ケースから機械を取り出し、文字盤を外しました。日の裏側はごく一般的な構造のようです。
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日の裏押さえを外しました。カンヌキバネの他に、もう一つΩ形のバネがあるのですが、何のために

付いているのかわかりません。
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次は輪列側です。まずは自動巻ユニットを外さなければいけないのですが、どこを緩めればいいのか

わかりません。恐る恐る一番上から外していきます。
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結局、ネジ4本を外して自動巻を丸ごと外すしかないことがわかりました。
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裏側から見るとこうなっています。
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バンパーの構成部品です。バネが一個変形しているので修正しようとしたら固定側が折れてしまったので、

さらなる修正が必要になりました。
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自動巻ユニットが取れると、普通の手巻きとほぼ同じ。ただ、上から自動巻のプレートが被さる丸穴車は

固定ネジがありません。
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輪列はこの通り。歯車の腕などに面取りがしてあり、ロンジンの機械を思い出しました。
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ゼンマイはオリジナル?の鋼製ですかね。汚くはありませんが取り出して洗います。
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部品名称がわかりませんが、ローターの振幅運動を一方向に整流する部分も分解しました。
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インカブロックの受け石には、ロンジンと同じように丸い溝が付いていました。今までロンジンでしか

こういう仕様を見たことがなかったので、ロンジンの独自仕様と思いこんでいましたが、他社製品にも

付いていたということは、インカブロックの商品にラインナップされていたのでしょうか。

それとも、ロンジンとグリューエンに何か関係が? 考えすぎですかね。
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テンプをはずした時、何かひげが絡んでいるように見えたので「やっちまったか」と思ったのですが、

よく見ると写真や絵で見たことがあるブレゲひげ? 実物を見るのは初めてです。
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洗浄後は組立です。香箱にゼンマイを入れて、輪列を組んで、受けをかぶせて、ザラ回し確認後

一番受け上の部品をつけて、アングル組み付け注油、テンプ取り付け。快調に動き始めました。

ひげゼンマイの様子を見ると、確かに全体が伸縮しているようです。
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次は自動巻ユニットの組立です。ばらした整流装置を組みます。
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ローターと受けと整流装置を組み合わせます。この時、ローターと整流装置の歯車の噛み合い位置は

決まっていますので注意が必要です。
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裏から押さえ板をネジ留めしてできあがり。
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これをかぶせるわけですが、ローターがあると機械台にうまく挟めませんので後にします(これが

まずかった)。

日の裏側を組み立てます。部品の組み方は問題ないのですが、ネジの種類がいっぱいあって何を

どのネジで締めたらいいのか迷いました。また、結局Ω形のバネの真の意味はわかりませんでした。
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文字盤と針を取り付け、ケースに機械を入れます。
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そして自動巻ユニットを取り付け、最後のネジを締め込んでいったら「カッ」とテンワが振動を止めました。

あわててネジを緩めたら再び動き始めました。ネジが長いようです。

裏押さえを締めるのに使ったネジが本当はこっちに使うネジだったんです。また針と文字盤を

はずさなければならない・・・

いつもどれがどこの締め付け用かわかるようにばらすのですが、洗浄・乾燥などをやっていくうちに

混ざってしまうことが多いのです。今回は自動巻ユニットを後でつけることにしたのでそれが裏目

出ました。先にやっていれば、針と文字盤をまたはずすような手間は不要だったのに。

どっちにしても、自分が悪いのですが。


しばらく休憩してから針と文字盤を外し、ネジを取り替えてまた文字盤と針を取り付け、ケースへ。

今度はちゃんと動いています(当たり前ですが)。
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やっと完成です。
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初のブランド、初のハーフローター、初のブレゲひげ。初物の多かった新春第三弾でした。