SEIKO GS 4522-8000

今期の年末年始は、珍しく帰省しない計画です。嫁さんの実家の法事が年末にあったばかりなのと、

自分の実家の法事が今月中旬にあるため、短期間に何度も帰る必要はなかろうという理由です。


というわけで、休みに突入してから一応家のことを一通りやって、分解に取りかかりました。

今回の時計は年末年始スペシャルということで4522-8000,68年製の45グランドセイコーです。
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不動、竜頭抜ける、ゼンマイ巻けない、というジャンクです。裏蓋を開けると、それほどひどくはない

感じですが、微妙です。
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ケースから出しました。文字盤の腐食はあまりありませんが、表面の皮の縁の方が剥がれています。

このままでいいとは思えませんので何とかします。サンレイ仕上げでもなく透明光沢フィルムが貼ってある

だけの、全然凝った文字盤ではないので、あの手でいけるでしょう。
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それにしても、セイコー最高峰のGSがこんな文字盤でよかったのでしょうか。新品ならそれなりの

輝きがあったんでしょうかね。


機械の側面がこんな風にさびていました。水入りでしょう・・・
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文字盤と日車を外しました。巻真まわりが特にさびているようです。オシドリはだめでしょう。

それから、写真一番上のネジ穴にネジがありませんが、私が外したわけではありません。欠品です。
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小さいネジなので、なくしやすいのは確かですが。

オシドリ押さえとカンヌキ押さえを外しました。オシドリはやはり用をなしていませんでした。
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念のため部品箱をあさったところ、45用オシドリが出てきましたので交換します。下がNOS品です。
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さびてはいませんが、色が黒ずんでいるので、他の部品と一緒に洗うことにしました。

残りの部品を取り外します。さびている部品があるので、さび取りしながら分解します。
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ダイヤショック、ダイヤフィックスも外します。
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そして輪列側に移ります。果たしてこちら側はどれくらいさびているのでしょうか。
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テンプ受けを外したら、下に座金が1枚入っていました。技術解説書を見たところ、製造段階で

入れる場合があるようです。紛失注意の記述がありました。
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受けを外しました。これが45の輪列です。機械を薄くするために特殊な輪列になっていて、香箱から

秒針までの車(カナ)が通常より3個多くなっています。名前も変わった名称が付けられており、

単純に四番車の次だから五番車というわけではなくて、秒車という名前になっています。
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香箱はそんなに汚くはないのですが、なんだか異物がたくさん見られるので洗うことにしました。
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このように、平べったい薄膜片がたくさん出てきました。ゼンマイの表面に何かコーティング

されていたのでしょうか。解説書ではセルフグリーシングゼンマイということになっています。
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文字盤は、SEIKOロゴとGSロゴを取り、剥がれかかっていたフィルムを剥がしました。
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多少変色等がありますが、傷を深くするのは困るので、このままとしました。本当はインデックスも

全部はずした方がきれいに仕上がるはずなのですが、今回はこのまま行きます。

今回使用したシールは、正体不明メーカーのTooというところの製品です。使い方はエーワンと同じ

ですが、貼った後の表面はエーワンよりも滑らかな感じですが、そのせいか下地とシールの間の

微細な空間が見えやすいようです。目立つところを上から押さえると多少緩和されますが、満足な

レベルにはほど遠いかな。これだけ拡大するとアラも丸見え(^_^;
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もっといい方法・材料を探さないといけません。


さて、機械の組立に戻ります。地板はかなりきれいになりました。メタルクリーナーは油かすみたいな

汚れは落とせないのですが、軽いさびのようなものはかなり落としてくれます。乾燥時の水残りによる

さびのリスクや、乾燥の手間がかかっても手放せない理由です。


香箱と中心カナを取り付けます。中心カナという名前はSEIKO独特ですかね。ゴールドフェザーの

真ん中にあるのも中心カナというらしいです。それ以外は記憶にありません。
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そして、中心カナと二番車の間に入る中心カナ伝え車を取り付けます。これはどちらが上でも取り付け

できてしまうのですが、写真のように円が彫ってある方が上になるように組むのが正しいとのこと。
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次に秒針規正のリンクと輪列を組み付けます。真ん中が秒車という名前。その左下が二番車。動力は香箱から

中心カナ、伝え車を介してこの二番車に伝わり、その下の三番車、その右の四番車、そしてガンギ車に

つながっています。秒車は単独でガンギとつながっています。秒車は香箱からガンギ車までの「列」に

並んでいないので、五番車と呼ばないのかもしれません。
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オシドリピンのつけ忘れに注意して一番受けと三番受けをかぶせます。
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ザラ回し確認後、コハゼ、丸穴車、角穴車を取り付けます。角穴車のさびは、メタルクリーナーでは

取りきれませんでした。赤さびは取れないですね。目立つ場所なのでヘタにさび取りするよりは、

ということで、放置決定。
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この後、アンクルをつけて注油。テンプは、なぜか強く磁化されていたので脱磁してから取り付けます。

アガキ調整用の座金を忘れずに。
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これで輪列側は完了です。

次に日の裏側です。巻真まわりを先に組んでおいた方がいいとアドバイスをもらったものの、空中に

吉車・鼓車を保持しながら巻真を通すのは面倒なので、今回はいつも通りのやり方に戻しました。

分解時の写真を見ながら組めばいいだけです。

何の目的か推測できないのですが、通常小鉄車が付いているあたりに大鉄車というのが付きます。

このため、針送りの時の竜頭回転方向が奥(竜頭上で右回転)になります。
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日付瞬時切り換えの部分も写真通りに組み付けます。瞬時切り換えカレンダーって、けっこう潤滑に対して

シビアで、よけいなことをしてもしなさ過ぎても気持ちよく切り替わってくれないことがあります。

今回もけっこう時間を消費しました。
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日車と日車押さえをつけました。欠品していたネジはジャンクから取りました。ちょっと短いのですが

やむを得ません。
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文字盤にエンブレムを取り付けます。遠目には悪くないんですけどね。シールの表面が粗いので、小さい

文字がきれいに印刷できないこと、平滑面に貼った時に微細な空間が多数できることが致命的です。

つるつるてかてかのタトゥーシールをどこかで作ってくれませんかね。
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後はいつも通り機械をケースに入れて
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完成です。
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文字盤には満足していませんので、最終的には業者に任せることも視野に入れつつ、よい方法・材料を

探したいと思います。