ORIENT STAR DYNAMIC 17J
さて今回はオリエントのダイナミックです。ダイナミックは以前にもやっていますが、
「あの機械」は今読み返すとなかなかすごかったですね。
時計としては同じで、文字盤がちょっと違う程度。前回の文字盤のインデックスがすべてバーだったのに
対して、今回は12、3、6、9時が特徴的な書体のアラビア数字になっています。
何年か前に復刻版で発売されたダイナミック(実は欲しかった)のイメージだったので、
文字盤が相当汚いのですが入手に至りました。
そこまではいいのですが、届いたブツを見るとこんなバネ棒が付いていました。さび・汚れにまみれて
いることもあり、ぜんぜん縮まないのではずせません。結局ニッパーで切断しました。
裏側の写真は明るい反射に引っ張られてかなりアンダーになってますが、普通のステンレスバックです。
その裏蓋を外すと、中の機械は意外にきれい。
この機械は、石数違いやカレンダー有無などのバリエーションがかなりたくさんの機種に
搭載されているようです。互換性については未確認ですが、部品取りには困らないんじゃないかと思います。
基本的な手巻き3針ノンデイトモデルですので、特に変わったところはありません。
ただ、丸穴車/角穴車のネジが両方とも逆ネジで、見た目も正ネジと区別がつかないところは
注意が必要です。
まずは日の裏側から分解。針、文字盤を外してどんどんばらしていきます。ガンギ車の保油装置は
ネジ止めタイプ。この方が作業者側から見れば簡単確実です。スペースを取るし、コストは高いでしょうけど。
次に輪列側の分解です。主ゼンマイに残ったトルクを解放してから部品を外していきます。
全部分解したら洗浄。香箱もゼンマイを出して洗います。
ケース、ベゼル、風防には大きな傷がないことから、いきなり仕上げ磨きをします。
外観上は手荒な扱いを受けたようには見えませんが、文字盤がこんなに汚いのはなぜなんでしょう。
秒針もけっこう変形してましたので、そこから推測すると、ガラ箱の中で何かの弾みで風防がはずれ、
何十年も放置される間に積もったホコリが時々ガラ箱をかき回すときにこすり付けられて
しみついたのではないでしょうか。
消しゴムではきれいになりませんでしたので、何らかの洗浄液を使うしかないと判断し、
恐る恐るメタルクリーナー希釈液を綿棒につけて文字盤をこすったところ、けっこう汚れが落ちました。
最後には印刷された文字の一部も落ちてしまいましたが、仕方ありません。
そして組立です。まず輪列を組み付けて受けをかぶせます。しかし、ガンギ車の重心が高いというか
座りが悪いため、受けを被せるのにちょっと苦労しました。
後はザラ回し、アンクル取り付け、注油、テンプ取り付け、でテンワが振動するのを確認したら
日の裏側に移ります。
カレンダーがないので部品は少なく、短時間で組み付け完了。文字盤を取り付けて針をつけ、
ケースに入れて完成です。
文字盤の文字が一部消えてしまいましたが、普段使いにはできるかなー