WALTHAM 100 その2

ひげゼンマイが絡んだまま、洗浄は済ませましたが、その後の作業を続ける気になりません。

しかし、このまま放置するわけにはいかないし、元に戻せなくてもAS1700なら部品取り用の機械が

手に入るから、と自分を励まし、ひげの修正に取りかかりました。

テンプ受けについたままだと作業しにくいので、ひげゼンマイをテンプ受けから外します。

絡んだ状態のひげ
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とにかく、まずは絡みをほどいて平面状態にしたいのですが、いつもの老眼鏡二枚重ねでは倍率が低くて

何もわかりません。そこでほとんど使っていないキズミを持ち出しました。使用中に曇ることは

間違いないので、使用前にドリルで穴を4個明けて装着。テンワをロディコで固定し、ピンセット

二刀流で息を殺して作業しているとやはり曇ってきますが、集中力もそれくらいしか持続しませんね。

それでも、ヒヤヒヤしながらひげを引っ張ったり回したりしているうちに、絡みはほどけました。

最外周の一部がわずかに変形していただけでした。そのわずかな変形を修正するのにけっこう

時間がかかりましたが、どうすればいいかはわかっていましたので、プレッシャーはありませんでした。
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修正が終わって、これで通常作業に戻れる、と思ったのも束の間。ひげゼンマイをテンプ受けに

取り付けるのがまた大変。細くて短いくさびをしっかりつかむことができないので、ひげゼンマイが

通った穴に差し込むことができないんです。しかもテンワの腕がちょうどひげ持ちのすぐ近くにあるので

邪魔でしょうがない。何度もやっているうちに、くさびを飛ばしてしまいました。あの部品を肉眼で

見つけるのは至難の業。ローラー作戦でも見つからない。仕方がないのでジャンクのテンプから摘出。

テンプ一式としては問題ないところから取ってしまうのは心が痛みますが、やむを得ません。

そうやって取り出したくさびですが、これもあっという間に紛失。完全に戦意喪失です。


それでも何とか気を取り直して次のジャンクから摘出するも、その瞬間に紛失。意地で次のジャンクから

取り出し、取り付けを試みるも、ピン!という感触とともに一瞬のうちに視界の彼方へ。そんなことを

二度繰り返し、合計5本のくさびを紛失した時、ようやく今の自分には無理な作業なのだということを

悟りました。

せめてAS1700のジャンクを見つけるまでのつなぎでもいい、動くようにしたい、ということで、

くさびの代わりに接着剤でひげを固定することに。安物中華ムーブの処理と同じです。負けを認めるようで

(実際負けてるんですが)いやなのですが、やむを得ません。


接着剤が固まるまで、テンプ抜きの作業を進めます。地板に耐震/保油装置を取り付け、注油。

オイル溜まりを確認したら、自動巻の伝え車と角穴車を取り付け。
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二番車を取り付けて香箱をセットしたら、一番受け、二番受け、輪列、輪列受けの順で組み付け、

ザラ回しOKを確認。アンクルを取り付けてゼンマイを少し巻き、アンクルがピンピン動くことを確認して

爪石・ガンギ車に注油。
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本来ならここでテンプ取り付けですが、それを飛ばして日の裏へ。

カレンダーがないので最小限の部品構成です。特に問題なく組み上げました。
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その後文字盤と針を取り付けて、ケースに入れちゃいました。竜頭はありませんでしたが、巻真は

問題なかったので、ガラ箱からちょうどいい竜頭を探してロックタイトを注してからねじ込み。

後は自動巻ユニットの組み立てをやって、
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接着剤が固まるまで作業は中断です。


翌日になって、テンプを取り付けてみます。一応、動き出しましたが・・・
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姿勢差がかなりありますね・・・もともとあったかも知れませんが、今回のトラブルの影響が

ないわけがありません。やはりジャンクを探すしかないですか。

ローターを取り付け、ガイドのリングを取り付けて
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完成です。外観はまあまあなんですけどねえ・・・
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