Ulysse Nardin N74
ユリスナルダンです。自分には縁のないメーカーと思っていました。この時計もヤフオク品ですが、
さすがにジャンク価格では落とせませんでした。だから、早く分解したいと思いながらも、不慮の
事故が怖くて(^_^;先送りになっていたのです。
文字盤の碇のマークは存在感があります。同じ碇マークでも、ラドーとは対極にあると思います。
しかし、文字盤にモデル名/ペットネームがない。なんて呼べばいいんでしょう。ユリスナルダン
オートマチック? そんなもんいっぱいありそうですよね。
裏蓋は全面ヘアラインで、何の情報もありません。
その裏蓋を開けます。機械はけっこうきれいですね。「N 74」と刻印がありますが、
これがCal.番号でしょうか? ネット検索してもほとんど情報がありませんけど。
大きな三日月形の部品が目に付きます。どうもローターの軸が機械の中心ではないようですね。
巻き上げ効率を良くするために偏心ローターが採用されている時計があることはどこかで読んだことが
ありますが、それがこの時計だったかどうかは覚えていません。
さて、分解に入ります。
まず、ローターを外します。ローター軸のすぐ横にある、ぴかぴかに光っている板がストッパーの
ようです。ただのストッパーにしてはコストがかかっていそうな部品です。
ケースから取り出し、針と文字盤を外します。針の傷み方が文字盤より進んでいるようです。
文字盤のくさび形インデックスの外側にある夜光塗料を見る限り、リダンではなさそうですが、
確証はありません。
日の裏側はこのようになっています。
日車押さえが大きいのが目立ちます。右上の部品は、カレンダーの瞬時切り換え用バネです。
日送り爪を留めている頭の大きいネジは、回るんですが緩まないので、怖くなって外すのをやめました。
輪列側です。丸穴車、角穴車の模様が目を引きます。
自動巻ユニットを外したら、ぽっかり穴が明きました。機械を薄くするためでしょうか。
自動巻ユニットの構造は、割と見かけるタイプですね。
次に香箱を外して驚きました。香箱の下に二枚の歯車。この形状、この配置、どこかで見た構造です。
前回やったウォルサムのAS1700/01とそっくりです。そう言えば、切換車もそっくりです。
偶然とは思えないですね。
二枚重ねの三番車、二番受けにいろいろ部品が付く構造、これらもどこかで見たような気がします。
二番受けを横から見てみました。右の棒がローターの軸、左が伝え車の軸ですが
明らかに摩耗しています。AS1700などは、軸が別部品になっていてここだけ交換できますが
(部品があればですが)、この機械は一体ものなので二番受けごと交換しなければなりません。
今となってはまず不可能じゃないでしょうか。
分解が終わったので洗浄します。前回同様、切換車は念入りに脱脂洗浄します。
組立は、まず香箱下の部品から。
その後、二番車、二番受け、香箱を取り付けます。
輪列を組み付けて・・・
ローター以外の部品をすべて取り付けます。ローターのセンターが機械のセンターとずれているのは
巻き上げ効率?なんて書きましたが、四番車とローター軸をずらすことで薄型化を図ったというのが
正解なのではないかと思えてきました。
日の裏側に移りまして、巻真まわりを取り付けます。ごく一般的な構造です。
日送り車(写真はひっくり返して撮影)の裏にある爪がそのすぐ上のレバーの爪を引っかけ、
目一杯力を溜めたところで解放して日車を送るという瞬時切り換え機構です。
日車と押さえ以外の部品を全部付けたところです。
ケースに入れてローターを付けます。
ローター軸が摩耗(ほんとに摩耗なんでしょうか?)しているので、ダイヤモンド入りオイルを
ローター軸が摩耗(ほんとに摩耗なんでしょうか?)しているので、ダイヤモンド入りオイルを
塗布することにしました。
ナノレベルのダイヤモンドボールが入っていて、油脂分が飛んだ後でもベアリングの玉のように働く
という能書きの製品です。効果は眉唾物ですが、ものは試しです。
ということで、完成です。
完成はしましたが、ちょっと精度に難があるのでいじっています。分解組立の過程でテンプまわりへ
ダメージは与えていないはずですが・・・こんなのは初めてです。いずれ記事にしたいと思います。