Wyler Dyna Star 25J

ワイラーというブランドですが、正体をほとんど知りません。ちょっとだけ調べたところでは、

19世紀末ころに創業し、後にインカフレックスという耐震装置を発明して、一時は勢いが

あったそうですが、今はブランドすら残っていないみたいです。


今回、初めて手に入れたワイラーは、Dyna Star 25Jという時計。
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ダイナスターって聞いたことがあると思ったら、スキー板のメーカーにありましたね。

ケースはワンピースタイプ。
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傷が少なくて、半径の大きい緩やかな曲面をもつ風防を取り外しました。その下の文字盤、針も

比較的きれいです。針を抜いて、機械をケースから取り出しました。機械もきれいです。

銅色めっきに緑の文字が新鮮。ローターに"WH217R"の文字があるので、これがCal. No.でしょうか。
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まず、自動巻ユニットを外します。ローターのガタが大きいので、ネジが緩んでいるのかと思ったら

違うようです。よく見たら、ローターの軸受け石が割れていました。
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これは交換しかありませんね。受け自体はきれいなので、石だけの交換で済ませたいところですが・・・

手持ちのドナーにETA2472はないので、これから調達しなければなりません。


日の裏側です。きれいですね。機械のベースはETA2472。相違点は耐震装置のようですが、

インカブロックが入るところに無理矢理インカフレックスを取り付けているような感じが

しなくもないですね。
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これと同じような耐震装置がオリエントのN型にも使われています。

ETA2472自体は、今までにいくつかやっているので問題ありません。どんどんばらします。

そして、表側に行きます。
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こちら側の相違点は、耐震装置以外にもう一つありました。それはテンワの形です。
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ナルトかよっ!!!  www

ケースバックの子供向け迷路みたいな図柄は、このテンワの形を表していたのですね。

輪列は普通のETA輪列です。どんどんばらします。
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二番受けを外した時に、何かぽろっと落ちたので拾ってみると、それは"TWENTY-FIVE 25 JEWELS"と

書いたプレートでした。それが付いていたところを見ると"SEVENTEEN 17 JEWELS"と刻印してあります。
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ベースの17石の部品を流用し、プレートだけを追加することで25石に対応したというわけです。


分解後、洗浄して組立ですが、この時初めての種類のポカミスをしてしまいました。

ゼンマイを香箱に入れる時、巻き方向を逆にしてしまったことは何度かあるのですが、今回はなんと、

裏表を逆にしてしまったのです。要するに、そのまま最後まで巻いていくと、香箱真に巻き付く部分が

逆巻きになるという、あり得ない巻き方です。もちろん途中で気づいたのですが、ゼンマイの形が

ずいぶんと変わってしまいました。これでまともな精度が出るかなあ・・・ とりあえずこのゼンマイを

使ってみることにします。

そこからは特にトラブルなく、ここまで来ました。
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写真だとわかりませんけど、あのテンワが振動する様は渦巻きみたいで、ちょっとおもしろいですね。

日の裏側も問題なく組み立て完了。
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終了まであと一息なんですが、ローター受けの部品が手に入らないとこの先には進めないので、

残念ながら作業はここで中断です。部品待ちの間、あのゼンマイでまともに動くのかを確認することに

します。
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