ORIENT AAA DELUXE SWIMMER 27J

この時計に手を付けたのはだいぶ前だったのですが、分解したまま放置されていました。

なぜ放置してきたのか、自分でもわかりません(^_^; 文字盤には27Jと書いてあるのに、

中の機械が21Jだったので少しがっかりしたのは記憶に残っていますが、ざっと見る限り

欠品はなさそうなので、なぜ? 謎は解けません。
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ご覧の通り、風防がかなり傷んでいますが、削って削って使えるくらいにはなりました。画像は

後ほど。


これとは別に、クロノエースの27Jを入手していたのですが、ケース形状が今ひとつだし、

傷だらけのカットガラス風防を見栄えよくすることができるのか、というのもあり、中の機械を

AAA DELUXE SWIMMERに移植することにしたのです。
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こちらの機械はご覧の通りで、ちゃんと27Jだし傷みはなさそうです。移植は問題ないでしょう。
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ということで、機械を取り出して分解していきます。

曜車を取り外しました。曜送り伝え車が擦れているのが気になります。
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日車を取りました。左下の部分にあるのが日付の早送り機構です。プッシャーがリンク二本を介して

日車を直接送ります。構造上は、夜中に早送りをしても壊れることはなさそうです。
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日の裏側が終わったら、表側に移ります。地板に配置された自動巻機構は薄型化に寄与していると思います。
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一番受けの裏です。ちょっと複雑な構造です。ダイヤフィックスがガンギ車と四番車に設けられていますが、

今回外さずにそのまま洗うことにしました。まず、パーツクリーナーを穴めがけて吹き付け、

その後ブラシでごしごし。それからメタルクリーナーで超音波洗浄してからすすぎ、アルコール漬け、

ドライヤー乾燥、という流れです。主要部品はすべてこの方法で洗いました。
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受けの下はこんな感じ。角穴車が香箱の上下にある点、ダブルの三番車、地板にかしめられた

自動巻の伝え車など、シチズンの72系?とよく似た構造です。
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二番車、香箱、二番受け、輪列を取り付け、裏側の部品を組み付けておいた一番受けを取り付けます。
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アンクルを取り付けて注油し、テンプを取り付けます。この機械は巻真まわりの部品が付いていないと

ゼンマイを巻けないので(いつもは角穴車ネジを使用)、この時点ではテンワが振動していません。

一応、動くことは確認しています。
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その後、ひっくり返して日の裏側の部品を取り付けていきます。

まず巻真まわりです。手巻きできるようにするため、鼓車、吉車、巻真、カンヌキ、カンヌキバネ、

カンヌキ押さえを付け、竜頭を回してみました。

すると、途中でひっかかり、それ以上巻けなくなりました。どこが悪いのか見当が付かなかったのですが、

あちこちいじっているうちに自動巻がくさいことがわかりました。下の写真の黄色丸の部品は奥の方で

地板にはめ殺しされている伝え車と噛み合っていますが、その地板の伝え車の歯が部分的に変形し、

そこがつっかえてそれ以上回せなくなるようです。
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次の写真は、別の機械の地板の写真ですが、この歯車が浮世絵の波のような形になってしまって

いました。
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この歯車は地板にかしめられているので、こいつだけ交換することができません。地板ごと交換

という手もあるのですが、この地板が21Jなので、香箱真の受けの石がなくなってしまいます。

悩んだあげく、手巻きを諦めて27Jフル装備を取ることにしました。

あとは部品をどんどん付けていきます。
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一応完成しました。しかし、手巻きだけでなく自動巻もあまり調子がよくないようです。ある程度

巻き上がって抵抗が大きくなると、自動巻でも引っかかりが発生するようです。このままでは長くは

持ちませんね、きっと。結局地板交換となる運命だったようです。
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摩耗変形した部品と噛み合う歯車もかなりすり減っていたので、セット交換が必要でしょうが、

摩耗してない部品が付いたジャンクが手にはいるかどうかが問題ですね。