RADO Golden Horse 30J (2)

今回の時計はラドーのゴールデンホース30Jです。ちょっと前にラドーがマイブームになったときが

ありましたが、その時期に立て続けに落札したものです。実はこれとは別にもうひとつ30Jがあります。

バカですね。
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分解に入ろうとしましたが、この裏蓋がまた非常に堅くて開きません。前所有者は無理に開けようと

しなかったようで、痛々しい傷がついていませんので、私も傷をつけずに開けることにします。

実績のあるCRC5-56漬けで、固着が緩むのを待ちます。

しかし、10日放置した後もホットボンド法では開けることができず、やむなく2爪オープナーを使用。

ちょっと傷をつけてしまいました。

これだけ堅い裏蓋に保護されていたので、機械はピカピカです。
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裏蓋を開けた時点ではCRCの侵入はわずかと思われましたが、機械を取り出して文字板を外したら、

べっとりとCRCがついていました。チューブから侵入したのでしょう。大急ぎでCRCをふき取り、

ベンジンの中ですすいで乾燥。今のところダメージは見られませんが、長期的な変化は気になる

ところです。

機械は地板の刻印が不鮮明ですが、AS1903のようです。これは今までにもやったことがある

機械ですのでどんどん分解します。
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日車もCRCでべっとりですので、軽くふき取ってから脱脂。日の裏側が終わったら輪列側を分解します。
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二番車が変なところにあります。このカナの部分が二段になっていて、ホゾ側の方が摩擦車の役割を

持っています。ここのフリクションが針回しの重さに直結します。
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自動巻ユニットを分解します。この機械は片方向巻き上げですね。
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洗浄が終わったら組み立てていきます。ベースの機械は25石で、自動巻の伝え車に飾り石が5個。

合計30石です。25石の機械はこの伝え車に穴すら明いていません。いや、未確認なだけで、穴が

明いている機械もあるかもしれません。
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受けをかぶせて丸穴車角穴車を取り付け、アンクルを取り付けて注油、テンプを取り付けます。
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自動巻ユニットを組み立てて、締め付けます。
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日の裏側に移り、巻真まわりを取り付け、裏押さえで押さえようとした時にトラブル発生。オシドリ

押さえるバネが折れています。分解洗浄中も気づかなかった・・・折ったのか、折れていたのか・・・
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仕方がないのでそのまま取り付けます。実用上あまり困らないし。

めっきがすっかりはげていた竜頭は、ナンチャッテ57Jジャンクのものと交換。57JはAS1701なので

裏押さえの形は違いました。残念。
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文字盤と針を付けて、洗って磨いたケースに入れてローターを取り付けます。
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ここでタイムグラファーにかけたところ、-80s/dくらいなので緩急針を多めに動かしましたが全然

変化せず。目一杯+側に振ったけどダメ。じーっとテンプを見ると、ひげ持ちとひげ棒の間のひげ

ゼンマイが動いています。これでひげ棒から外れていることがわかりましたので、テンプを取り外して

ひげゼンマイをひげ棒のスリットに収めました。このやり方を知ったのは、そんなに昔じゃないんですよね。

ちょっと前なら調整不能で諦めるか、壊しているところです。

再度テンプを取り付けて調整した結果、ほぼ0s/dに。その後一日使いましたが-3s/dくらいです。

姿勢差も少なく、機械自体は当たりのようです。裏押さえの破損が惜しい。

とりあえず、しばらくはこのまま使おうと思います。
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見た目はそこそこに見えますが、実は固着した風防を外す時に欠けさせてしまい、外周が1/3ほど

ありません。ベゼルに隠れているので見えませんが、水滴が付いたら即侵入するだろうし、何かの

はずみで風防が脱落する可能性もあります。割れていないものと交換したいんですが、見つかるかな・・・





後日談ですが、以前ラドークロノメーターで摩擦のなくなった二番車を交換した時のドナーが1903だったので、

そこから裏押さえを取りました。
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幸いなことに、こちらは折れてませんでした。

あとは風防さえ手に入れば・・・