BULOVA AUTOMATIC  ETA2879 17J

最近後始末作業が続いているので、ここらで気を取り直して次の時計をやろうという気持ちになりました。

それで選んだのがこの時計。ベゼルがめっきで、しかもギザギザが安っぽいのですが、価格も

安いので、いじるだけでもよかろうと言う気持ちで落札したものです。
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入手時は風防もなかったんですが、たまたまガラ箱の傷つき風防が使えたので、それがはめ込んで

あります。

裏蓋を開けました。機械はETA 2879です。
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ローターが若干腐食が始まっているような感じがありますが、まあまあのコンディションです。

機械をケースから取り出し、クリップと曜車を外しました。
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日付、曜日、瞬時切換、早送り機能があるため部品は多いです。
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緩衝装置はキフショックですかね? バネが平安京エイリアンみたいな形をしていますが、これが

外れてしまいました。簡単に外れるくせに入らないので、無理してバネを折る前に地板から土台を外して

バネをはめ、また圧入する方法を取りました。この土台の圧入深さで天真のアガキを調整することが

できるようで、中途半端に入れたら天真がガタガタになったので、少しずつ叩いて調整。

時間はちょっとかかりましたが、問題なく終わりました。


全部分解したら表側に移ります。まず自動巻モジュールを外します。これは裏側です。
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角穴車、丸穴車を外しました。丸穴車を外す時に、すぐそばでガタガタ動く部品があり、おかしいなと

思ったのですが、やはり折れていました。写真は肝心なところにピントが合っていませんが、

真ん中付近でピンボケしているのがコハゼ、その左上に伸びているくの字の部品がコハゼから折れて

分離したバネです。
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なかなかすんなり行かせてくれないなあと嘆きつつ、どうしようか考えました。ETA2879は以前

分解したことはあるが、ジャンクはなかったはず。無しで組み立てるか、壊れた部品を修理するか。

大きな力がかかるところではないので、ハンダ付けで何とかなるかも。ということで修理することに

しました。比較的広いスペースの中に収められている部品なのですが、反発が強い、曲げが足りない、

ハンダ付け位置が悪い、など修正のたびに新たな不具合が次々と出てきます。
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そのうち部品自体がどこかへ飛んで行ってしまいました。不思議なんですよねー、そんなに遠くに

行っていないはずなのに、全然見つからない。後日見つかることもあるのですが、

出てこないことの方が多いです。

ということで、今日のところは無しで組むことにしました。自動巻を付ければ使えないことはないので。


香箱は、これまでのことがあるので分解する前にチェック。角穴車を回していくと、巻き切った

あたりで明らかなトルク変化があります。この時計は使用中極端に進む場面があったはずです。

蓋を開けますと、中はかなりきれい。でも油っ気はありません。
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ゼンマイを外すと、内周が他に比べて汚れているのでゼンマイを入れたまま洗浄し、無注油で組んだ

と推測されます。

また、この香箱は内周に凹みがあり、これでスリップの量をコントロールするタイプであることが

わかります。このタイプは、これで2例目か3例目です。私にとってはとても珍しいものです。
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輪列です。ETA輪列ですが、この動力伝達はロンジンのCal.290(291)と同じなんですね。ETA

ロンジン、どちらが先だったのでしょうか。
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洗浄が終わりました。ここまで組み上げます。コハゼがないためゼンマイを巻けないので、

少々やりづらかったですが。
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自動巻モジュールを組み立てて取り付け。これで日の裏側に移ります。
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どんどん組み立てます。
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巻真まわりの写真では、カンヌキに引っかけるべきバネが外れています。わかりますか?

文字盤と針を付けます。風防がなかったため、文字盤には傷が目立ちます。
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ケースに入れて
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一応の作業は終わりです。完了じゃないですけどね。コハゼを交換すべきか、そのままにしておくか

考え中です。
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一日使ってみましたが、振り当たりはなく、パワリザも49時間!あるし、姿勢差も意外に少なく

機械自体は当たりのような気がします。外観もベゼルを凝視しなければ全体としては普通の時計だし、

ということでコハゼのドナーを落札しました。海外からなので1週間くらいはかかると思います。
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