LONGINES Conquest? のカレンダー修理

一年前に分解した、Cal.291搭載のConquestそっくりさんです。カレンダーに不具合があります。

不具合の内容は、日付を早送りしようとして針の往復をしても日付がかわらない。

さらに、一度針を戻してしまうと、日付が変わるタイミングがずれてしまう。というものです。

2個目のCal.291は正常でしたので、その動作を念頭に置いて、問題の291を見てみました。

まず、針を順送りして日付が変わったら、そこから針を戻します。正常なものは九芒星が逆回りに

一歯動くのですが、正常でない方は動きません。よく見ると、九芒星の規正バネ先端が逆回転時に

九芒星の下に潜り込んでしまうことがわかりました。
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そこでバネをいじって、逆回転時にも潜り込まないようにしました。
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これで解決、意外に簡単だったなあと思って動作確認をしたところ、逆回転した時に九芒星が

一歯分戻らず、歯の先端にバネの突部が乗り上げたままになってしまうことが判明。

いろいろ考えましたが、理由がよくわかりません。日車の動きがあまりスムーズでないことから

日車の脱脂をしたり、躍制レバーのとんがりを磨いて摩擦抵抗を減らしてみたりしましたが

解決には至らず。
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九芒星右側の爪が九芒星を回し切れていないのは確かなのですが、なぜそうなのかがどうしても

わかりません。何度も何度も動かしていると、九芒星と爪が同一平面になく、爪の方がちょっと

浮いていることがわかりました。
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この爪は、断面形状が台形になっているので、浮いていると爪が小さくなったのと同じことに

なります。そのため、九芒星を回しきれないのだろうと推測しました。

ではなぜ段差が生じているのか。そこを中心に見ていくと、これらの歯車のガタが大きすぎるため

であることがわかりました。なぜガタが大きいのか。よくわかりません。スラストガタと

いうよりは歯車の倒れが大きいんですが、どこかが摩耗しているようにも見えません。

とにかく、倒れを減らそうと思って、小さい銅の座金を入れて見ましたが、微妙に厚いようで

動きが悪くなってしまいます。何かを挟むレベルではないと判断し、これらの歯車の軸を短くする

ことにしました。これがその部品です。
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二本立っている軸をわずかに削ってガタを取ります。削りすぎたら取り返しがつかないので、

少し削っては歯車を取り付けて動作確認を繰り返しながら作業していきます。

やっている時に、ベースの板のプレスダレも歯車が傾く原因の一つになっているのではないかと

気づきました。(部品の左上の部分)
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しかし、ここはどうしようもなさそうなので諦め、軸の削りだけで対応します。

何度か繰り返した後、ようやく歯車の倒れがなくなり、爪がしっかり九芒星を回せるようになりました。

すると今度は、日車を回す時に今までより強い抵抗を受ける時があり、爪がスリップしてしまう現象が

発生。強い抵抗を受ける(引っかかる)ことが問題なのですが、その理由がどうしてもわからないため、

今回は強い抵抗に負けないよう、爪の固定を強くすることにしました。本来は爪をかしめ直すべき

なんでしょうが、接着剤を使用。これで何回か動作確認をしたところ問題は出ませんでした。
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文字盤、針をつけてケースに入れちゃいましたが、その後はちょっと怖くて使ってません(^_^;