SEIKO 5 ACTUS SS 25J 6106-7690

またアクタスSSですよ。どうしようもないですね。

今回は、九面カットガラス風防に緑色の文字盤。風防は、エッジのあちこちが欠けていて、

特に正面の傷が多いので、視認性はかなり落ちています。
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この風防をどうするのかが、今回のテーマです。水ガラスだけでは傷を消せないだろうと思いますが、

こういう場合にどうするか、かねてより考えていたのが次の方法。

まずクリアラッカーを吹きつけ、この段階である程度傷を見えなくしておく。

そしてその上に水ガラスを重ね塗りする。

というものです。水ガラスの膜はそれなりに固いのですが、その下のラッカー塗料はそれほど

固くないので、水ガラスだけよりは弱いはずです。どれくらい弱くなるのかを確認するのも

今回の目的の一つです。


とりあえず、いつものように分解していきます。機械はきれいです。
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ケースをばらします。ガラスが接着された中枠をベゼルでケースに固定する構造です。ベゼルには

コジアケ差し込み用の溝があります。
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ガラスの直径は約30mm。汎用風防の在庫があるので、これに交換すれば視界すっきり。

ちょっと迷いましたが、上述の実験を優先することにしました。写真ではガラス表面の傷を

ありのままに撮影することができないのですが、この写真よりは傷だらけです。
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光線を変えてみましたが、これでもまだまだ真実が伝わりません(想像はしていただけると思いますが)。
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これにクリアラッカーを吹き付け、十分乾燥させます。その後、水ガラスを二度塗り。果たしてその

結果は・・・最後の写真で!


さて、機械の分解です。まずは日の裏からばらしていきます。
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次に表側です。この個体も香箱の外周に擦った跡がありますね。
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テンプを外した時に、ちょっと違和感を感じたのでひっくり返して見ました。そしたらひげゼンマイが

変形して偏っていました。
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テンプ受けについていた大きな傷と関係があるのでしょうか。

しかし、先日やってしまったCYMAFLEXのひげに比べればずいぶん軽傷です。私でも修正できるでしょう。

ということで、洗浄前に修正。新品状態とまでは行きませんが、何とか使える程度には戻せたと思います。
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洗浄後、どんどん組み立てていきます。そして文字盤と針を取り付けました。
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文字盤にもちょっと傷が多いです。ホコリのようですが、拭いても擦っても取れません。
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ケースに入れて
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一応完成。
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傷は目立たなくなりましたが、失敗と言わざるを得ません。予想した通り、カットのエッジは丸くなり、

カットガラス特有の輝きがなくなっています。塗膜表面の平坦度もかなり悪く、とても人様には

見せられません。ラッカー塗装の上に塗ったからだめだったのかどうかはもう少し調べる必要が

ありますが、水ガラスの粘度が少し高くなっているようなのも原因の一つかもしれませんし、

水ガラス塗布に使ったハケに、固まった水ガラスの微粉末が残っていたのも確かなようです。

ただ、塗膜の強度は心配したほど弱くないようで、ラッカー併用は場合によっては有効かもしれません。

この時計の場合は風防のおかげで文字盤の傷があまり目立たないので、これはこれでいいのかも

しれません。