ORIENT CHRONOACE 21J 0429-19371

最近ゲットする時計にかなり偏りが発生してます。ロードマチック、アクタスSS、ファイブDX、

オパールやセブンスターV2なんかがたくさん集まってますが、オリエントのクロノエースも

けっこうあります。今日はそんな中の一つです。

今回のクロノエースは紺色の文字盤にローマ数字で、よく見かけるものと少し趣が違います。

入手時はカットガラス風防が傷だらけ、秒針外れ、カレンダー窓枠なしという状態でしたので

普通であれば部品取りに回されるところですが、文字盤が気に入ったので復活させることにしました。

まず、入手時の写真です。裏蓋側は撮り忘れました。
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なくなっている窓枠は、ずいぶん前に入手した文字盤から取ることにしました。
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裏蓋を開けます。機械はきれいですが・・・テンプ受けに尋常ならざる傷が。何があったのでしょう。
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ケースから機械を取り出しました。針には傷・汚れが目立ちますが、文字盤は比較的きれいです。

インデックスやオリエントロゴに少々腐食があるのは仕方ないですね。
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針と文字盤を外し、曜車を取ったところです。欠品や破損はないようです。
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どんどんばらして、表側に行きます。輪列です。秒カナを使った間接中三針ということになりますが、

三番車が二重になっていて(わっかは3枚ありますが)、秒カナのふらつきを抑えているので、

秒カナを押さえるバネなどは使われていません。
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受けをひっくり返してみました。手巻きの回転を香箱に伝える輪列が見えます。真ん中がコハゼの

役目をします。この歯車はコハゼバネがついた押さえ板で押さえられています。
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分解が終わったら洗浄して組立です。表側は一気に行きます。テンプ受けの傷は謎ですが、ほかは

どこにも異常がありませんでした。
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日の裏側に行きます。こちらも一気に行きます。
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曜車は大きな英字と小さな漢字が書かれています。小さな漢字が窓からのぞいている姿は

しょぼいのですが、これはカレンダーが白目を剥いている時間を短くするために書かれているんだと

思います。スリーエースでも、曜日の間に変な記号が書かれたモデルがありましたね。

文字盤に窓枠を移植し、針つけまで終わりました。
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黒とか紺の文字盤にポリッシュ針だと、光の状態によっては時刻がわからなかったりすることが

ありますが、針の真ん中に細く白い線を入れると、視認性がすごく安定するんですよね。

これを磨いたケースに入れて
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完成。
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風防には水ガラスを3回塗り重ねましたが、深い傷はもちろんのこと、カットのエッジ周辺の

磨りガラス状態だったところも完全に隠せませんでした。それでも、やる前に比べれば段違いですけど。

下にラッカーを塗れば傷は目立たなくなると思いますが、そうするといかにも何か塗ってある感じが

強くなるので、少なくともカットガラスに対してはラッカーと水ガラスの併用はしない方がよいようです。
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さっそくこの時計を着けて会社に行ったところ、「風防の光り方が下品」と言われてしまいました。

手がけた本人としては、beforeよりはずいぶんよくなったと悦に入っているのですが、

他人から見たら不自然なんだなと、あらためて思いました。

気づいた方がおられるかもしれませんが、カレンダーの窓枠を取ったケースの風防がこちらより

きれいなので、それと交換する手もあるかもしれません。

あるいは、水ガラスをハケ塗りするのではなく、エアブラシで塗るというのも手かもしれません。

でも、その前に今までやったことがない5回塗りをやったら、だいぶよくなりましたよ。