香箱用グリスについて

時計いじりを始めたばかりの頃から、香箱にはダウコーニングのモリコートDXペーストという

製品を使っていました。白色ですがモリブデン系であるということで、香箱に使ってもいいだろうと

勝手に判断していたんです(その後、モリブデンは含まないことが判明。名前が紛らわしいですね)。

しかし、主ゼンマイのスリッピングアタッチメントにまつわる振り当たりやパワリザ不足が多発した

あたりから始めたスリップ状態の確認を重ねるにつれ、このグリスでいいのか?という疑問が

湧いてきました。

というのは、スリップしている時の感触が、このグリスの場合ちょっとざらついているのです。

香箱を洗う前の方が、スリップの感触がなめらかな場合が多かったりするんです。

ということで、前回のセイコーアクタスでは、モリコートDXを使わず、モリブデン系ではない別の

グリスを使いました。かなり粘度の高いやつで、摩耗防止には最高ですが、抵抗になって巻き上げ系に

悪影響があるのではないかと思えるほどです。ですので使用量は抑えました。

実際に使ってみたところ、パワーリザーブは通常並に蓄えられたので、巻き上げ時に抵抗になりすぎて

いることはなさそう。

次のセブンスターでは、もう一段粘度の低いグリスを使ってみました。モリコートDXよりはだいぶ固め

ですので、スリッピングアタッチメントの滑り具合もまずまずと言ったところ。

さらに、某ブログで田宮のラジコン用モリブデングリスが紹介されていたので試してみましたが、

こちらはモリコートDXとほぼ同様の感触。
イメージ 1
右からモリコートDX、硬いグリス(Nyogel 767A)、次に硬いグリス(795A)、そして田宮のグリス


いずれのグリスでも、使われた時計が私の手元にある限りは不具合が出るまで使われることはなさそう

なので、ぶっちゃけどれでもいいような気がしますが、グリス遍歴の最後としてメービスの8200を

使ってみようと思います。どのグリスを使ったにしても、自分でどのグリスがいちばんいいかを

確かめることは不可能なので、「腕時計香箱用のグリス」を使う安心感を優先しようというわけです。

すでに発注済みなので、届いたら使ってみてスリップ具合のレポートだけはしたいと思います。