Mido MULTISTAR 17J

ミドーの時計を分解するのは初めてですね。デザイン的にはよくあるクッション形ケース。
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裏蓋はちょっと大変なことになっています。削るしかないですね・・・
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その裏蓋を開けました。機械は、角穴車の上に「Cal. ほにゃらら」と書いてあります。半分消えかかった文字列を

頼りに調べると、どうもCal.1147OCDと書いてあるような。
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これはASの1831がベースのようです。基本は同じで、地板の直径違いで001147、01147、1147の3種類が

あるようです。この機械は29.5mmくらいあるので、1147OCDで正解ですが、OCDはOcean Star用を

意味するらしいのにマルチスターに載っているのはおかしくないか?

このほかにもデイトかデイデイトか、早送り可か不可かでいろいろ派生があります。この機械に限りませんが、

ASの製品ラインナップはすごいですね。

文字盤を外しました。腐食等はありませんが、粒状のゴミが多いですね。
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日車、曜車を外しました。さびや腐食ありませんが、とにかくゴミが多いです。
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カレンダー機構はASの機械でよく見かける構造で馴染みがありますが、写真下の方にある長い腕は

初めて見ます。オシドリと連動していますので、カレンダーの早送りのための部品のようです。


日の裏側を分解したら、表側に移ります。
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テンプには微動緩急針がついていますが、トリオビスと呼んでいいんでしょうか。

自動巻きモジュールは積層ではなく地板に組み付けられる構造です。薄型化を狙っていると思います。

そのモジュールの受けを外すと、その下には切換車とコハゼがひとつずつ。
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二番受けを外すと輪列が見えます。二番車がセンターにないタイプ。香箱が変な色をしていますが、

さびているとか変色しているというわけではなさそうです・・・
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次に香箱のスリップチェック。まずまずでしたが、ふたを開けてみたら油っ気があまりなかったので

分解洗浄して自作8201を塗ることにしました。
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洗浄したら組み立て開始。今までいじってきた時計の穴石は歯車側が平面でしたが、

この機械は球面になっています。歯車が安定しなくて受けを被せにくいのではと思いましたが

さにあらず。逆に勝手に直立してくれるので受けの被せは楽でした。
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これは二番車。一番上に見えるカナは摩擦カナになっていて、時刻合わせの時だけここが滑ります。
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古い時計ですと、ここが時々ばかになっていて緩々のものがあります。以前はジャンクから移植していましたが、

最近は無理やりカシメるようになってます。この機械も、そういう処置を受けたようで、拡大するとカシメ跡が

いくつもあります。写真はかなり後ピンなので肝心のところがわかりませんが(^_^;

輪列を乗せたら受けをかぶせ、ザラ回し後に丸穴車、角穴車、自動巻きモジュール、テンプを付けていきます。
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ここで日の裏に行きます。

これはカンヌキですが、通常はカンヌキ側が穴で地板のピンに入れるのに対し、この機械はカンヌキが凸で

地板の穴に差し込む構造です。どんな狙いがあるのかわかりませんが、めずらしいのかな?
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次に、巻真周りを取り付けていきます。写真の状態でカレンダー早送りをしてみたら、レバーの先が

アンクルと干渉して異音を発生したので焦りました。部品が全部つけば干渉することはありません。
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その他の部品を取り付け、文字盤・針も取り付けました。
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カレンダー早送りは、竜頭を押して戻した時に変わりました。しかし、曜日は変わりません。

また、日付は瞬時切り替えですが曜日は徐々に変わります。しかも、日付より先に切り替わります。

これでいいのかな・・・

これを磨いたケースに入れます。この時計、風防側から機械を入れる構造です。裏蓋側からの機留めは

ありませんが、風防側にも特に機留めはなく、単に風防のみで機械をおさえる形になります。

その風防がやけに緩いし、テンションリングに見えるものは全然テンションが出てないし、目盛りがあるのに

位置決めの切り欠きなどはないしで、これがオリジナルとは思えませんね。
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そのほか、竜頭とチューブの間ががら空きで、いつでも浸水してくださいと言わんばかりなのも気になります。

オリジナル状態が知りたいところです。

裏蓋は写真のように手を入れてみました。まだ傷が残っていますが。これもオリジナルはどうだったんでしょう。

とりあえず完成です。機械の方は問題ありませんでしたが、外装が問題ありありの時計でした。
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