LONGINES 890.1 組立編

今回は前回の続き、ロンジンのL890.1を搭載した自動巻き時計を組み立てます。

地板に緩衝装置を取り付けたら表側にして、香箱と巻真まわりの部品を取り付けました。
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そして輪列を載せます。
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それからちょっと苦労しながら一番受けを取り付け。
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続いて受けの端っこの方の小さな歯車を取り付けた時、あれっ?と思いました。

そういえばこの機械、コハゼがなかったな・・・でもないはずはないし。もしかしたら、

この小さな歯車がコハゼか?(写真赤丸部分)
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場所的にはコハゼで間違いなさそうですが、この歯車はどちらにも回るのでこれ自体は

コハゼではなく、こいつを一方向にのみ動かすための部品があったはず。すぐ横に穴が

明いていますが、そこに何かが収まる様には見えないので、裏に何かスペースが?

と思って受けを外してみましたが、穴以外に何もなし。
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ネットを漁ったところ、890.1のパーツリストを見つけましたが、コハゼと思しき部品は

見当たりません。画像を検索してみたところ、肝心の部分が見えない画像ばかりの中、

一枚だけ何かが写っているものがありました。具体的な形状は不明ですが、何か

つくのが正しいようだということはわかりました。

いずれは自作か購入で部品調達するとして、ここは組立後でも容易にいじれるところですので

組立を継続することにしました。


また苦労して一番受けをかぶせ、自動巻きと手巻きの部品を取り付け
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受けをかぶせてテンプを取り付けます。竜頭を回してみたら、戻ることなくゼンマイを

巻くことができました。原因がよくわからないのですが、分解前の不具合は解決しているようです。
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ここで日の裏側に移ります。針回し系、カレンダー系の部品を取り付けます。
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一度、日車押さえまでつけて動作を確認したところ、どうも日送りが変。針を回していくと、

カムの段差に板が当たり、カムの回転が止まったところから力をため始め、ある時ポン!と弾けるのですが、

日送り爪が日車に当たるだいぶ手前なんです。

何かがおかしい。ということで日送り車を取り外して裏を確認しました。すると、やはり不具合が。

裏側から見えるバネが、よく見ると折れています。
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このせいでため込む力が足りず、日車まで届かないようです。

折れたばねを外してみました。こんな形だったようです。
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せっかく瞬時切り替えなので、何とか機能回復させたいと思い、バネを作ることにしました。

ガラ箱から似たような太さのバネを探してきて、これを曲げて作ります。
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しかし、左端の180度折れ曲がっている部分を作ろうとすると、折れてしまいます。

他に使えそうな材料はないので、とりあえず瞬時切り替えはあきらめることにしました。

日車の下から日送り車に向かって出ていたバネは、瞬時切り替えをあきらめた今は

ただの抵抗でしかないので取り外し、いつ来るかわからない修理まで保管することにします。
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ケースはこんな感じに仕上げました。サイドと面取り部分はポリッシュ、正面はヘアラインです。
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このケースに、文字盤と針をつけた機械を入れ
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(前回の最後に「またやってしまった」と書いたのは、ローターのロゴをはがしてしまったことです)

完成しました。
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ポリッシュとヘアラインのメリハリがちゃんと出ていれば、それなりに見えるもんですね(手前味噌)。


'75年の機械ということで、もっと手を抜かれているかと思いましたが、意外に

しっかりしていましたし、構造もとてもユニークでしたね。当時のロンジンはまだこんなものを

作れる状態だったんですね。

日送り車とコハゼを見つけて、完全復活させたいものです。