LONGINES Cal.701搭載手巻き時計

今回は久しぶりにロンジンの手巻き時計です。
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ケースが汚れにまみれているものの、傷は少な目で文字盤はかなりきれいです。

風防もかなりきれい。落札金額があまり高額にならなかったのは、

この裏蓋のせいでしょうか。SCHICKって、あの髭剃りのシックですよね。
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竜頭がついていないのも価格が上がらなかった理由かもしれませんが、

巻真は残っていたので適当な竜頭を見繕って仮付けしてあります。

ためしにゼンマイを全巻きしてみたところ、歩度も振り角も十分でていますが、

緩衝装置に油がありませんので、とっくにメンテタイミングと思われます。

カレンダーが切り替わりかかったまま止まっていて、針を回しても動きませんので、

ちょっと手間が必要かもしれません。

では、分解に入ります。機械はスペーサーにねじ止めされていますが、

一本は頭が取れて地板にネジが残ったままになっています。
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文字盤の状態はかなりいいですね。針は曇っていますが、洗えばきれいになるでしょう。

文字盤を外した日の裏は大きな日車押さえが目立ちます。
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これを外すと、大きな日送りレバーとカムが出てきます。瞬時切り替え式のようです。
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手巻き三針で瞬時切り替えカレンダーは特に珍しいものではないかもしれませんが、

私にとってはお初となります。

次に表側を分解します。秒カナを使っていますが、三番車がダブルになっているため、

押さえのバネはありません。
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分解が終わったところで地板に残った機留めネジの取り外しにかかります。
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ネジがさびついているようには見えなかったので、ポンス台を使って上下から挟めば

回せるかと思いましたが、無理でしたのでVISSIN液を使います。

地板の変色が怖いので、できるだけ液と接触する面積を抑えるように吊るしました。

その入れ物を湯煎します。ネジだけが黒くなって泡が出ていますが、なかなか取れません。

結局、合計30分以上つけていたことになりますが、ようやく取れました。

その代わり、VISSIN液に漬かっていた部分が銅色に変色してしまいました。

さび取り剤を使っても取れなかったので諦めていたのですが、いつものメタルクリーナーで

洗浄したら、色が戻っていたので安堵しました。

香箱は、ふたを開けてみたところ、中はきれいだし自己潤滑ゼンマイということなので

香箱真だけ洗うことにしました。


洗浄後、まず緩衝装置と巻真まわりを取り付けます。カンヌキを取り付けないと、

ここを最初にやる意味があまりないんですが、忘れてます。
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裏返して、輪列を組付けます。歯車は、国産普及機に比べればよい作りをしていますが、

Cal.290などほどではありません。
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それでも、ホゾ穴にセットすると各歯車が直立するので受けは簡単に被せられました。

ザラ回し後丸穴車、角穴車、コハゼを取り付け、
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アンクルを取り付けてアンクルチェック。そしてテンプを取り付けます。
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表側はこれで完了。日の裏に移り、部品を取り付けていきます。
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この後、文字盤を取り付ける前にカレンダー動作をチェックします。切り替わるちょっと前が

かなり抵抗が強いです。自分でちゃんと切り替わるのか、23時くらいにして放置してみました。

しばらくして様子を見てみると、止まっていました。やはりどこかおかしい。瞬時切り替え機構は

潤滑がシビアなので、部品同士が当たるところ、擦れるところに注油しながらチェックしました。

その結果、上の写真の緑丸のところの動きが渋いことが判明。注油してから何度も動作させ、

スムーズに動くようにしてやったら、ぱしっと切り替わるようになりました。

あとは文字盤と針をつけて、ケースに入れて、
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完成しました。
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竜頭の径がわずかに大きいため、巻き上げの時に引っかかります。手持ちの竜頭では

ほかに合うものがないため、どこかで探してこなくてはなりません。