OMEGA SPEEDMASTER AUTOMATIC MARK 40 COSMOS (分解洗浄編)

最近、私の職場のリーダーがヤフオクでタイトルの時計を落札しました。

前から欲しかったそうです。毎日使っていましたが、日に15秒ほど遅れるので、

近隣では一番大きいと思われる時計店に持ち込んでOHの見積りを取ったら、

6万円と言われて帰ってきたとのこと。

そこで白羽の矢が当たったのが私です。私の趣味については職場では

けっこう知られてしまっているのです。

最初は断ろうと思いましたが、彼が4月から海外駐在することが決まったので、

餞別の意味を込めて分解掃除をすることに決めました。


外観は、大きな傷等はなく、実用にはいい感じですが、風防の表面の傷が

多いのが気になります。サファイア風防ですので風防自体の傷ではなく、

低反射コートの傷ですが、私のMARK40には表のコートはありません。
イメージ 1


製造年によって違いがあるんでしょうかね。
イメージ 2


分解前に状態をチェックします。歩度が-15/dとのことですが、

分解前にとりあえタイムグラファーにかけてみました。

その結果、歩度は全姿勢で-15~20/dくらい、振り角が230゜程度でした。

通常、775xシリーズは300゜程度は振れるはずですので、

OH時期が来ているのは間違いないと思います。

裏蓋はねじ込みでもスナップでもなく、赤い透明のガスケットで固定されています。

これを外しますと、機械が見えてきます。ローターにはOMEGA 1151の文字が。
イメージ 3


裏蓋の裏には何も書き込みがないので、今までOHされたことはないと考えられます。

機留めネジと巻真を取り、ケースから機械を出します。文字盤、針はきれいです。
イメージ 4


針を慎重に抜き、文字盤を外しました。意味ないですが、文字盤の裏。
イメージ 5
指紋は、私のものではありません。

現れた日の裏は、とてもきれい。
イメージ 6


比べること自体失礼ですが、パチの7751とは全然違いますね。

さあ、日の裏から分解開始です。ネジがきれいなので、笑わせないように慎重に

緩めます。この日のためにドライバーも研ぎましたw

カレンダープレート上の部品を外してプレートも外します。
イメージ 7


カレンダー送り機構等を取り外し。巻真まわりも分解します。
イメージ 8


摩擦車を抜きます。次の写真の右下にあるのが摩擦車の裏側で、右上の12時間計と

似た構造ですが、スリップトルクは全然違います。摩擦車は長短針とカレンダーを駆動する

トルクを伝えなければいけませんが、12時間計は12時間計だけを回せばいいのです。

ほとんどフリーと言ってもいいくらい。ここの滑りが悪いと、クロノグラフを動かしていないのに

12時間計が進んだりします。

ちなみに、12時間計は香箱の裏の小さな歯車から直接動力を受けています。
イメージ 15


摩擦車は、「テクニカルコミュニケーション」によると洗浄不可で、

使用できない時は交換という指示になっています。

この時計の場合、針回しがちょっと重い感じがしたので、洗って

注油したいところですが、指示通り洗うのはやめてモリコートDXを塗布します。


次に表側です。まずローター受けを外しましたが、切換車と噛み合っている

伝え車?がどうしてもついてきます。油で張り付いているわけではないようです。

回しながら引っ張って外しましたが、軸が荒れています。
イメージ 9


後でじっくり確認することにして、分解を続けます。
イメージ 10
イメージ 11


香箱は、分解前チェックではスリップ前後のトルク変化もなく、悪い感じは

しませんでしたが、開けてみるとまったく油っ気がない状態。
イメージ 12


でも、ここにいつものグリスを使うと、たぶん滑りすぎてしまうと思い、8201を微量塗布。

分解が終わって洗浄ですが、部品がどれもきれいなため、メタルクリーナーでの洗浄は省略。

荒れが気になっていた自動巻き伝え車の軸の洗浄前後の写真です。
イメージ 13
イメージ 14


摩耗しているように見えたところはもともと加工で細くしてある部分であることがわかりました。

摩耗ではなくて一安心。

写真の容量オーバーのため、続きは別記事にて。