BREITLING Premier 38J

現在の私は、腕時計の分解掃除そのものを楽しんでいるように見えると思いますが、

そもそもは自分の時計を自分でメンテするために技術を習得するのが目的でした。

ただ、メンテが必要なほど不具合が顕在化している時計がなかったため、分解目的で

入手した時計を分解掃除してきました。

しかしついに、その時が来ました。


今回俎上に乗るのは、ブライトリングのプレミエ。ブライトリング製品の一般的イメージとは

趣の違う時計です。
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もちろん中古での購入ですが、その時はナビタイマーブレスがついていました。

そのブレスが微妙に短く、右手ならいいけど左だとちょっときつかったので、ベビーカイマンの

革を使って、この時計専用のストラップを作りました。今まで作った中では出来のいいほうです。


さて、メンテを決意するに至った不具合内容ですが、やや遅れが出始めたことと、

パワリザが26時間前後しかない、ということです。パワリザについては、手巻きしても

自動巻きでも変わらないため、主ゼンマイを疑っています。
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パワリザの問題さえなければ、ちょっとタイミング調整して継続使用するレベルですが・・・


裏蓋はスナップ式。無理せずできるだけ傷がつかないように開けようと思いましたが、

なかなか開かず、コジアケを差し込むところが荒れてしまいました。

中はこんな感じ。
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ETA2892A2をベースムーブメントにしてクロノグラフモジュールを重ねた、いわゆる

二階建ての機械です。ロンジンのスピリットなどはETA製モジュールの8510を使った

2894-2を搭載しているようですが、ブライトリングの場合はデュボアデプラのモジュールを

積んでいるという話があります。それを確かめるのも一つの目的です。


機留めネジを外し、ケースから機械を取り出しました。針、文字盤は問題ありません。
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針を外し、文字盤を外そうと思いましたが、どこを緩めればいいのかわかりません。

三針の場合に干支足の固定に使うネジがありますが、これはベースにクロノモジュールを

固定する部分のようです。とりあえず切り離してみましたが、状況は変わりません。
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結局、ここと
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ここの
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ネジを緩めればいいことは確信しました。なかなか外れない文字盤を、こじるようにして

ようやく分離に成功。穴と干支足の寸法がかなりシビアのようです。ネジで固定した時の

変形も拍車をかけているようです。
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これが外したクロノモジュールの日の裏側。見えるところにはペルラージュ仕上げが。
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こちらは未知の世界なので、まずはベースムーブメントの方から分解することにします。


ベースムーブメントの日の裏。
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真ん中の歯車が四番車の軸に圧入されていて、常時回っています。これが

クロノグラフの動力源になります。その下の歯車が長短針を動かすための

動力源になります。

日車相当の部品は、歯車を介してクロノモジュールに取り付けられた日車を

動かします。

それ以外は普通の構造ですので、どんどん分解していきます。
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次に表側です。
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実は、2892を分解するのは初めてなんです。日の裏はあまり違和感がありませんでしたが、

表側は結構違い、戸惑いもありました。
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一番受けの裏側に丸穴車やらなにやら。
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自動巻きは、ローターが裏側からネジ止めされているため、ローターがついたまま

受けを外します。
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受けの裏には切換車等が組み込まれています。
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いよいよ、一番疑っていた香箱のチェックです。

いつもの通り、香箱をチェック。滑り始める時のトルク変化はあまりなく、滑り量も

正常に思えます。蓋を外してみるとかなりきれい。
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全然問題なさそうで、当てが外れてしまいました。ここに問題がないとすると、

パワリザが短い原因はいずこに?


洗浄後、組み立て開始。地板上に輪列を並べました。
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しかし、こうすると組立ができないことがわかったので、三番車、四番車を一度

外して、予め組立済みの一番受け
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を取り付け。
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それから三番車四番車を乗せて、輪列受けを取り付け。それからアンクル、テンプを

チェックしながらつけていきます。
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日の裏に移りまして、巻真周り、中間日車?を取り付け。
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そして、自動巻きのASSYを組み立てておきます。
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これでベースムーブメントが終わりました。次はいよいよ未知の領域に進みます。

今日のところはこれにて。
                   つづく