BREITLING Premier 38J クロノグラフモジュール編

前回は、プレミエに搭載されているキャリバー、Brietling 40のベースムーブメントをやりました。

パワーリザーブが27時間程度となってしまっている理由が香箱にあると予測していたのですが、

分解してみると特にパワリザを短縮させるような不具合はみつかりませんでした。

となると、問題はクロノグラフモジュールにあることになります。


では、クロノモジュールを分解していきたいと思います。

分解の前に、モジュールの裏側(ベースムーブメントと接する側)を見てください。
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真ん中の穴の左斜め上が長短針を動かす動力をベースムーブメントから受け取る歯車、

右下がクロノグラフの動力としてベースムーブメントの四番車の先端に圧入された歯車と

噛み合う部分です。


それでは分解です。まず、日車を外します。日車押さえが3か所ありますので外します。
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写真を撮り忘れてしまったようですが、カレンダー受けの日車の下には4か所ルビーが

埋め込んであって、日車の動きをよくしています。内周のガイドもリング状のルビーが

使われています。

カレンダー受けを外すと、クロノグラフの部品群が見えてきます。
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部品点数が多いような少ないような・・・

ちなみに、カレンダー受けの裏側です。
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薄いセパレーターみたいな板を外します。
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この写真の下にあるカニ爪みたいなものが、この機械の司令塔で、正式名称は不明です。

拡大写真です。
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発停ボタンを押すと、下側の二つのレバーが交互に発停レバーに押され、

写真上側の山形の部分でスタート・ストップ・リセット可否を制御します。


分解を続けます。
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写真左側に同じような歯車が二つあります。ひっくり返して見ると、

一方だけ座金が入っていました。これでいいのか、本来両方入っているべきなのか、

そこはまったくわかりません。
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さらに分解を続けます。
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すべて部品を取り外しました。
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この後、部品を洗浄し、組み立てに入ります。

分解時の写真を見ながら、部品を組み付けていきます。
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その後、カレンダー受けまで取り付けて、ベースムーブメントと合体させ、

動作確認をしたのですが、全然動きません。どこか組み方を間違えたと思い、

途中までばらして確認しながら組み直しましたが、変化なし。

何度もやり直しても動かないので、最悪の事態が頭をよぎります。

そんな中、一つだけ、裏表がないと思って取り付けた部品があるのを

思い出しました。それを裏返して取り付けたら、動くようになりました!


各部の簡単な説明を写真に書き込みました。正式な部品名は不明です。
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裏表があった部品は、「クラッチレバー」と書いた部品なんですが、

クラッチレバーとカムの上にかぶさるように取り付けられている馬の頭状の

部品が、スタート/ストップする際に上下に動き、その時にレバーを

押し下げてクロノ秒針への駆動力をつなぐようになっているようなんです。

それが、向きが逆だったために馬の頭が上下に動けなかったというのが

真相でした。

この辺、組むのが精いっぱいで、部品一つ一つの写真を撮る余裕が

なかったんで、今回はこの辺でかんべんしてください。

もし、次回分解することがあったら、詳細に書きたいと思います。


ということで、作業を続けます。

次の部品が、前の画像で「長短針駆動」と書いた部分に噛み合います。
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次の写真のクロノ秒針の左上に見える歯車です。要するに、日の裏車ですね。
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これにカレンダー受けを取り付けて
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日車を取り付けます。
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何とかここまで来ました・・・


次は文字盤・針の取り付けです。今回、外装はほとんどいじりませんので、

ケースを専用機械台代わりに使えませんが、リセットハンマーが当たったままに

なるタイプの機械ですので、針挿しは何とかなると思います。


まず、文字盤を取り付けます。外す時にも難儀しましたが、取り付けも

一苦労。やっと入ったと思ったら、なぜかテンワが止まる。何をやっても動かないけど、

文字盤を外したり、クロノモジュールを外すと動き出す。つけては止まり、

止まっては外すを何度か繰り返し、最終的に干支足ができるだけするっと

入るような角度を探しながら微調整した結果、止まらなくなりました。
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針挿しは特に問題なし。

針、文字盤、ケース内側のごみを丁寧に取り除き、機械を入れます。
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ハックレバーを取り付けます。普通、ハックレバーなんて一番受けあたりで

固定されるものと思っていましたけど、2892は自動巻きの受けで押さえるんですね。
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そして、組み立て済みの自動巻きを取り付けます。
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裏蓋を閉めて、ストラップをつけて完成です。
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一日使ってパワリザがどうなるか調べた結果、手首から外して止まるまで39時間でした。

まあまあかな。ETA2894-2を積んでいるロンジンのスピリットなどは46時間以上

動いているので、それを考えると若干の不満はありますが・・・

結局はっきりした不具合はみつかりませんでしたけど、クロノモジュールに

抵抗が大きくなっていた部分があったんじゃないかと思います。

最後に、メンテ後のタイムグラファーの曲線。
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片振り、振り角などは改善しました。歩度は変化ないですね・・・様子を

見ながら調整しますか。また裏蓋を開けるのがいやだけど(^_^;


あ、このモジュールがどこ製のものかですが、どこにも刻印がないため

わかりませんでした。ただ、ETA2894-2のテクニカルコミュニケーションに

載っている絵とは違うので、ETAではないと思っています。