SEIKO Sportsmatic Calendar 820 17J

今日は15日。お月様も十五夜ですね。こういう日が珍しいのかどうかわかりませんが、

13日の金曜日よりは珍しいのではないでしょうか。


さて、久しぶりの分解です。

今回取り上げるのはセイコー スポーツマチックカレンダー 820。
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ご覧の通り、外観はけっこうやられています。針、文字盤は比較的きれいみたいですが、

風防は傷だらけ、1時から2時あたりが割れています。これは修復できないでしょう。

裏蓋はスナップ式ですが、シリアル番号がある以外は模様が何もありません。
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ネットの画像検索結果によると、二段目の傾斜部にぐるっと文字が書いてあるのが

出てきましたが、モデルが違うのでどれが正しい姿なのか、定かではありません。


裏蓋を外します。機械は外観に比べるとずいぶんとマシに見えますね。
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竜頭近くのケースサイド、腐食がかなり進んでいます。銅合金にめっきのケースは

こうなっているのが多くて参ります。あまり手間をかけても得るものが少なそうなので、

適当に切り上げようと思います。


分解前の調子を見てみました。それほど悪くないようです。
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ケースから機械を取り出しました。文字盤、針はまあまあですね。
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針と文字盤を外し、日車押えを外します。
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日車の内爪の形が珍しいです。

手巻き機構、カレンダーの早送り機構がないので、日の裏は比較的単純です。
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日送り車の爪が退避式なので、針を往復することで日付の早送りができることがわかります。

日の裏側の分解が終わりました。続いて表側を分解します。
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ローターはケースから出す前にはずしました。主ゼンマイを解放してから分解していきます。
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マジックレバー、一番受け三番受けを外します。ごく普通の輪列です。
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外した香箱をチェックします。滑り始めの前後のトルク差はちょっと大き目でした。
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香箱の中はかなり乾燥していましたね。
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ケースはめっきなので軽く表面を磨いた程度。ベゼルと裏蓋は傷取り研磨をして、メタルクリーナーで

超音波洗浄。めっきがはがれたところが目立ちますので、めっき工房でめっきすることにします。
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めっき工房の標準セットでは、銀色のめっきはニッケルしかありませんのでこれを使います。

しかし、開封してだいぶたつためか、析出物が多く、湯煎しても溶けきりません。そのせいなのかどうか

わかりませんが、結果はあまり芳しくありませんでした。


さて、洗浄が終わりましたので組み立てに入ります。
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ダイヤショックをつけて二番車を取り付けました。この後香箱、ガンギ車、三番車、四番車を取り付けます。
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受けをつけてザラ回し。そして角穴車を取り付け。角穴車の上のワッシャーは、マジックレバーの受けを

担っているそうです。のちの機械では、角穴車自体がこの凸形状を持つようになっています。
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次にアンクルをつけてアンクルチェック、そしてテンプを取り付けます。ガンギ車とアンクルには

エピラム処理をしました。これでひとまず表側は終わり。
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日の裏は難しいところはないのでさーっと取り付けます。
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そして日車、日車押さえを取り付けます。
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マジックレバー周辺を組み立てておきます。
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機械に文字盤と針を取り付けます。
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竜頭もかなり腐食していたのですが、よく似たサイズのものがあったので交換。
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機械にケースをかぶせます。風防は日付のレンズがなく、角もとがったヨシダの

互換品ですが、きれいな風防はやっぱりいいですね。
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機械枠を入れてねじ止めし、
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マジックレバー、ローター、ガスケットを取り付け。
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タイムグラファーにかけてみました。分解前とあまり変わりませんね・・・
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とりあえず完成。ギラギラ文字盤が個性を主張しています。ケースサイドを見ると

ガックリきますが、正面から見ている分にはまずまずの外観でしょうか。
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今回はトラブルは何もありませんでしたので、作業時間も短めでした。