LONGINES Cal.285

今回はロンジンの手巻き三針デイト付時計です。

昔のロンジンの時計は、文字盤にペットネームが書いてないものが多くて

呼び方に困ります。
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いきなりピンボケになってしまいましたが、Cラインぽいケースの輪郭、角の丸い

スクェア文字盤など、今でもそんなに古さを感じません。

裏蓋はスナップ式で、パッキングはありません。竜頭にもありません。

完全非防水で、かれこれ40年は経過しているはずですが、機械も、針も

文字盤も、ほとんど傷みがありません。かなりいい環境で保管されていたのでは

ないかと思います。
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試しに、タイムグラファーチェック。数字だけ見れば、全く問題ないですね。
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針と文字盤を外しました。日の裏です。ティアドロップ形状の日送り爪が目につきます。
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日車の押さえ方がちょっと変わっていまして、抜け防止は外周のリング、回転のガイドは

内周の板でやっているみたいです。写真を撮り忘れましたが、外周のリングに合わせ、

日車の外縁には段差があります。

そんな構造に気を取られ、日車を外した時に日車ジャンパーのバネを飛ばしてしまいました。

どこかに当たった音は聞こえましたが、その後の通常捜索(目視、コロコロ)では見つからず。

やむを得ず、机上の整理を兼ねて、周辺の大規模捜索(掃除機)を敢行。

吸い取ったごみをかき分けた結果、救出に成功。過去に紛失した香箱発見のおまけつき。

ただし、何の香箱か記憶なし(^_^;

インカブロックの受け石も見つかったらいいなと期待していましたが、それはかなわず。


そんなこんなで作業が1日止まっていましたが、これで再開できます。

日の裏の分解を続けます。
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この機械は、裏押さえに三番車の穴石があるので、途中で表側に行きます。

多少薄汚れてはいますが、受けの加工筋目がきれいです。コートドジュネーブ

ペルラージュみたいな派手さはないですが、気を使って仕上げているのがわかります。
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輪列。香箱の周りに二番三番四番車が並ぶ配置です。
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そしてまた日の裏に戻り、裏押さえを外します。
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香箱は大変きれいなので、真を外して周辺を拭くだけにとどめました。
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洗浄後、組み立て開始。まずは日の裏側をここまで組み立てました。
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そして表に行き、輪列をセット。
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受けの表面はきれいなんですが、地板は魅せる気遣いはされていないようですね。

やっぱり'70年代の製品だから仕方がないんでしょうか。カンヌキなんかも、プレスで

打ち抜いただけのような仕上がりになっちゃってます。


受けをかぶせてザラ回しし、丸穴車、角穴車を取り付け。各部品、全然劣化していないので

組み付けていて気持ちがいいです。
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アンクル、テンプを取り付けて、表側は完了。
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日の裏も、残りの部品を取り付けていきます。
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すぐ上の写真は、日付が変わる直前の状態ですが、日送り爪と日車の爪のかかり代が

かなり少ないですね。これは、長い日送り爪を使うことで日車が動き始める時刻を極力

遅くすることと、針の往復で日付の早送りができるようにするためであろうと推測しています。


そして、文字盤、針を取り付けます。針もピカピカになりました。
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完成。風防のヒビが残念ですが、あまり目立たないので我慢しましょう。
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完成後のタイムグラファーチェック。
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振り角は振り過ぎなんじゃないのってくらいですね。手巻きだからいいのかな。

入っているゼンマイが強いのかも。

歩度とビートエラーは、おいおい調整しましょう。

今回はのっけからばねを飛ばしてしまい、どうなるかと思いましたが、その後はスムーズでした。