KING SEIKO AUTOMATIC 5626-7113

今回は、久しぶりの56系です。キングセイコーとしても久しぶりです。

このモデルのケース形状は、キングセイコーらしいと思います。もちろん、よく似た

形状はロードマチックなどにもあるのですが、やっぱり本家はキングセイコー

勝手に思っています。
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入手時の状態ですが、上の写真ではわかりにくいのですが、風防の傷多め。

ケースにも傷があるものの、面やエッジは良く残っている方です。

ですので、ケース研磨に関してはいつものグラインダーは使用せず、手作業で

傷取り艶出しをしていこうと思います。

風防は何もしないには傷が多すぎ、かと言ってもう水ガラスでは満足できなくなっているため、

キイロビンとグラインダーでの研磨を試みます。深い傷はあまりなさそうなので、何とか

なるのではないかと思います。

裏蓋は、メダリオンもなければ「KS」の彫り込みもない、実に質素なもの。
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その裏蓋を外すと5626が出てきます。操作してみたところでは、カレンダーが

早送りできないこと以外は問題はないようです。油は完全に乾いていますが、

ゼンマイを巻くと快調に動きます。
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それではケースから出して、分解を始めましょう。

いきなりですが、曜車までを外したところ。
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どんどん分解します。56系は巻真周りがやけに複雑なのが特徴です。
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そして表側です。輪列、自動巻きの部品を受けている受けを外します。
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受けの裏側にも部品がついています。
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香箱です。スリッピングアタッチメントの滑りは悪くありませんが、ふたを開けてみると

グリスが乾いているため、分解してグリスアップし直します。
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ここでケースも分解します。

これがガラス風防。
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このままでも耐えられなくはないが、気にしだすと気になってしょうがないレベルの傷です。

ですので、こいつを両頭グラインダーに付けた木板(ケース研磨用の板をそのまま流用)と

キイロビンで研磨します。

3回目(二度目は途中で割ってしまいましたが)ともなると、ちょっとコツがわかってきますので、

傷の完全除去も不可能ではないかも。

ということで小一時間作業を続けた結果、ここまで来ました。
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今回ももう少しというところで心が折れてしまい、無傷化はできませんでした。もはや

「それがオレ流」と言って差支えないかも。

それでも、肉眼でわかる傷は2本のみで、ぱっと見は新品ですよ。

研磨作業については、次回以降の投稿でもう少し詳しく書いてみたいと思います。


ケースも手作業でしこしこ磨きました。グラインダーを使うと傷は簡単に取れるのですが、

オリジナルの面の雰囲気を残すのが困難です。今回はエッジや面がよく残っていたので

それを温存するのを優先しました。だから、グラインダーなら簡単に取れる傷が残ったまま

ですが、それもやむなしです。


では、洗浄も終わりましたので組み立てを始めましょう。

地板にダイヤショックを付け、注油してから輪列と自動巻きの部品、ハックレバーと

そのバネを取り付けます。二番車の頭が摩擦車になってますので注油を忘れずに。
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受けをかぶせ角穴車、アンクル、テンプを取り付けます。巻真を奥まで差し込んでないと

テンワが回りませんのでご注意を。
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日の裏側も組み立てます。巻真周りは、始めJは組み付け順序が全然わかりませんが、

さすがになれてきました。
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残りの部品を取り付けて、日車、曜車を取り付けます。
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カレンダー早送り不可の原因だった、破損した揺動レバーは鉄製のものに交換。

本体との時代は合いませんが、耐久性重視ということで。

組み立てたケースに機械を入れ、伝え車とローター、スペーサーを取り付け、
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完成。
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傷のない(いや、あるけど)風防はやっぱりいいですね。水ガラスは単なる気休めにしか

ならないと痛感しました。


今回は傷が浅いものをグラインダーで磨きましたが、次回は前回書いたアクタスSSの風防か、

または別のアクタスSSのカットガラスの深い傷を均してからグラインダーで研磨する、というのを

テーマに書いてみようと思います。

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