パワリザが短い時計(2) TECHNOS Skylight

今回分解するのは、テクノスのスカイライト。このモデルは今までにも何個かやってきましたが、

これが在庫最後のスカイライトとなります。

入手時の状態ですが、外観は比較的良好なものの、竜頭がスカスカなので主ゼンマイ切れと

思われます。裏蓋のメダリオンなし。
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ガラス風防には若干傷がありますが、研磨するほどでもなし。機械はETA2824ですので、

ジャンクからゼンマイをいただくことにします。
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自動巻きモジュールを固定する青焼きネジもついてないので、これもジャンクからもらいましょう。

ということで分解開始。機械をケースから出し、まずはケースを分解。この個体もミドルケースに

テフロンリングで固定されるタイプ。

ケースやベゼルは大きな傷がなく、オリジナルのエッジもよく残っているので、グラインダー磨きは

やめて手で磨きます。

次に機械の分解です。日の裏側から分解していきます。もうだいぶ見慣れた風景ですが・・・
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そして輪列側です。テンプを外そうとした時、なんか違和感があったのですが、理由はすぐ判明。

緩急針がありません。

さらに、テンプ受けを外したらテンワが置き去りに。ひげ玉がついてません。
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テンプ一式もジャンクからもらうことにします・・・
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ゼンマイはやはり切れていました。
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洗浄後、まず主ゼンマイを移植します。オイルはメービス8200。これでスリップチェックを

実施したところ、みごとに1,2周滑ってしまいました。

そこでまたゼンマイを取り出し、今度はD5を塗布。これでチェックすると、まだ滑りすぎますので、

今度はスリッピングアタッチメントを平らに伸ばしてみましたが、まだ滑ります。

そこで、香箱内周の凹みに入って止まると想像するゼンマイの終端の曲げを、

少しきつくしてみました。

これにより、滑り始めの抵抗がちょっと強くなってしまいましたが、凹みひとつずつ

滑るようになりました。4回も出し入れしたのでゼンマイがちょっと変形してしまいましたが、

やむを得ないでしょう(^_^;

ピンクページによると、2824と2824-2のゼンマイは微妙にサイズが違うのですが、

某時計材料店に問い合わせたら同じだというのでとりあえず2824-2用の新品

(サードパーティ製)を確保しておきました。


それでは組み立て開始です。まず、地板のインカブロックを取り付け、巻き針周りを

取り付けました。
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そして表側に行き、輪列を取り付けます。
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受けをかぶせてザラ回し確認し、丸穴車、角穴車を取り付け。そしてアンクルを

取り付けようとしたら、片側の爪石があらぬ方向を向いているので

またジャンクからアンクルをもらいました。
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ドナーとなったジャンクはゴールデンホースで、テンプはトリオビス緩急針付きでした。

ガッチャではありますが、さりげないグレードアップが実現。
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天真のアガキ調整が必要かもと思っていましたが、それも不要で、

テンワは元気よく動き始めました。

日の裏側に移って残りの部品を取り付け。ready to install day wheelです。
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実際にはこのままでは日車押さえがつけられず、筒車を一度外しましたけど(^_^;
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スペーサーを取り付けたら文字盤を取り付け、針を取り付けます。
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磨いて組み立てておいたケースをかぶせ、自動巻きモジュールを組み立てて取り付けて、
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完成です。
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今回のパターンでは、凹みありの香箱でオイルがD5でも滑りすぎ、ゼンマイの外端を

いじることまでやらないと解決しませんでした。何が原因で滑りすぎるようになってしまうのか、

皆目見当がつきません。肉眼ではわからないレベルで表面粗さあるいは形状が

変わってしまっているのか。新品のゼンマイを使ったらどうなるかが興味のあるところですが、

現在の精度が非常によいため、問題が出るまでこのまま使おうと思います。

普通に使った後のパワリザは39時間で、まあまあ許容範囲内というレベルでした。