ROLEX EXPLORER II PACHI
またまたパチネタで恐縮です。今回はエクスプローラーIIです。
だいぶ使いこまれていますね。本人は時計にあまりこだわりがなさそうですが、週に5分くらい
進むのは気になったらしく、調整してくれんかと言ってきました。頼られたら断れないので
引き受けた次第。フリップがなくなってるのもすごいですね。
フラッシュフィットの裏側がえらく汚いです。外してわかりましたが、接着剤で固定してあった
ようです。なぜ?
タイムグラファーにかけてみました。確かに週5分くらい進むようです。
振り角がやや小さいと言えますが、調整だけで済みそうです。ただ、カレンダーの早送りができません。
そこで分解することにしました。
裏蓋を開けると、意外にきれいな機械が出てきました。初めて見る姿かたちですね。
ケースから取り出したら、文字盤側から分解していきます。ずいぶん幅広の日車ですが、
貼り付けではないようですw
日送り車です。初めて見る形です。真ん中の樹脂部分が日車を回します。
この部品を回す中間車に、変な形の爪がついていて、これが日送り車を回します。中間車が
一日に6周回ることになります。これは、日車が動き始めて切り替わるまでの時間を短くするための
ものかと思っています。
さて、表側です。
受けを外すと、輪列もETA輪列タイプでした。
香箱のチェックでは問題なく、中もきれいなので香箱真の洗浄のみとすることにしました。
すべての部品の洗浄が終わったら、インカブロック?を取り付けるところから組み立て開始。
ハックレバーが取り外せなかったのですが、これがあるせいで先に巻真周りが組み付けできるので
まずここから取り付けました。
しかし、ここでトラブル発生。カンヌキ押さえをねじ留めしようとして締め込んだら、
全然トルクを感じません。まさか、と思って手を止めましたが、時すでに遅し。
普通じゃない形をしているので、この頭が何かの部品の軸になっていたらやばいな、
と思いつつ、代替品の捜索に入りました。
ほどなく、某婦人用ムーブのネジが使えることがわかりました。
もちろん、長すぎるので削ります。小さいねじですので、指で持って削るのは大変です。
そこで、その辺の厚めの紙をちぎり、小さい穴をあけ、そこにネジを突っ込みます。
そして紙を折り曲げて取っ手を作ります。
この状態で削ると、指を削ることなく、飛ばすことなく短くできます。
これでカンヌキ押さえが固定できました。
表側に移って作業を続けます。輪列を取り付けます。
受けをかぶせてザラ回し、アンクル取り付け、チェック、テンプ取り付け。
自動巻きの部品を取り付け。ここはETAとはだいぶ違って、切換車がありません。
受けをかぶせ、表側はほぼ完了。
順調に進んでいるかに見えましたが、なんかひげゼンマイが変。タイムグラファーに
かけても、まともな曲線が出ません。こりゃ何かあったな、と思ってテンプを外してみたら、
なんかひげ棒のあたりが変なんですよ。棒が二本。間にひげゼンマイが入ってました。
こんなのあり? ひげ持ちのあたりも変。普通、穴にひげゼンマイの端が入ってくさびで
留まっていますが、これは溝があるだけ。いじっていたら外れてしまいました(^_^;
こんなんでええのんか、と思いつつ、ひげ持ちにひげの端をG17で接着。
G17が固まったところで取り付けてみましたら、なんだか動いてる。
そのまま日の裏側に行きます。こちらもETAとはだいぶ違う構造。
日車、日車押さえを取り付けて動作確認。
動きが期待通りでないのでチェックし直したら、日の裏車が裏表逆でした(^_^;
文字盤、針を取り付けてケースに入れ、タイミング調整。ひげゼンマイをG17で固定する
ようなことをしてますが、その割にはいい感じ。かなり遅れているように見えますが、
実際の精度は進みが出てます。
ブレスを取り付けたら、フラッシュフィットがこんなんになってしまいました。
これの対策でボンド留めしてあったんですね。
アロンアルファとかエポキシを使うのは嫌だったので、ホットボンドを使って固定しました。
一応完成です。
持ち主に時計を返した後に、最初の写真と比べてみて気付いたのですが、ベゼルの文字が
部分的に欠けちゃってます。やばいなー。修正させてもらおうっと。